いよいよ始まった2022年。昨年はカープ、サンフレッチェ共に、思うような結果を残せなかったが、若手が台頭するなど、未来への希望を抱かせてくれる戦いを見せてくれた。また、東京五輪が開催されるなど、スポーツがおおいに盛り上がった一年になったと言えるだろう。

 広島アスリートマガジンWEBでは、これまでカープやサンフレッチェをはじめ、広島のスポーツの魅力を伝えてきた。そこで、昨年特に反響の多かった記事を振り返り、2022年のスタートを切る。

 今回は、カープの過去のドラフトを振り返った記事。4年前の2018年。昨季ブレイクを果たした“あの選手”たちを指名したドラフトを振り返る。(2021年10月2日掲載)

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2018年ドラフトでは、小園海斗(ドラフト1位)、林晃汰(ドラフト3位)をはじめ、有力選手を多数指名した。

◆将来にしっかりと舵を切った英断ドラフト

 カープが球団初のセ・リーグ3連覇を果たした2018年。長い低迷期を脱し、再び黄金期を築いていたこの頃、カープのドラフト戦略は明らかに変化を見せていた。

 16年ぶりにAクラス入りを果たした2013年の大瀬良大地から、2014年・有原航平(外れ1位で野間峻祥)、2015年・岡田明丈、2016年・田中正義(外れ1位で佐々木千隼、外れ外れ1位で加藤拓也【現・矢崎】)と、4年連続で大学生の「即戦力投手」を1位入札してきたが、リーグ連覇を果たした2017年には中村奨成を1位指名。球団にとって高卒選手の1位指名は、実に5年ぶり。高卒野手に限れば1998年の東出輝裕以来、19年ぶりの出来事だった(※分離ドラフト時代を除く)。

 しかし、2018年のカープは前年の中村奨成に続き、2年連続で高卒野手の小園海斗を1位で指名することになる。小園はこの年のドラフトで同じ高卒野手の根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)と共に、ドラフトの目玉として注目された逸材だったが、現有戦力が充実していたからこそ、2年続けて高卒野手を1位で指名することができたとも考えられる。小園には4球団が1位で競合。事前の予想通り指名は集中したが、カープは抽選の末に交渉権を獲得することに成功した。

 とはいえ2年連続の「高卒野手」1位指名は、ギャンブル性も高かったはずだ。しかし、この年のドラフトは、3年が経った今になって着実に「成果」をあげている。

 1位の小園はプロ1年目から一軍で出場機会をつかみ、昨季はシーズンのほとんどを二軍で過ごしながらしっかりと地力をつけた。今季はシーズン途中から遊撃レギュラーに定着。9月25日にはプロ入り後、初めて規定打席に到達。9月終了時点で打率.289と、3割も狙える位置にいる。

 また、この年のドラフト指名選手からは、3位の林晃汰もレギュラーに定着。現在は小園、林と高卒3年目の野手ふたりが三遊間を任されている。加えて7位の羽月隆太郎も一軍で出場機会を増やすなど、高卒野手3人が頭角を現し、ドラフトからわずか3年で、早くも“当たり年”の雰囲気が漂う。

 2年連続の高卒野手1位指名と、カープとしては異例のドラフト戦略をとった2017~2018年――。

 確かにその後、連覇は途絶え、ここ数年はBクラスに低迷している。しかし、ドラフトの本質は「将来のチームを支える選手を獲得する」ことにある。

 そういう意味では、2018年ドラフトは、チームが「将来」にしっかりと舵を切った英断ドラフトだったと言える。そして、その英断はきっと実を結ぶだろう。小園、林、羽月らが順調に成長し、このまま不動のレギュラーに上り詰めれば、近い将来、2018年ドラフトの評価はさらに上がるからだ。

文:花田雪