2022年シーズン、カープは佐々岡真司監督3年目となる。昨季4位に終わったカープはチーム打率こそリーグトップ(.264)を記録したものの、チーム防御率はリーグ5位の3.81に低迷した。

一軍投手コーチとして12年ぶりに広島に復帰した高橋建氏(写真は現役時代)

 そんな中、立て直しを図るべくドラフトでカープは即戦力左腕を2選手指名。さらに、一軍投手コーチにはかつて左腕エースとして活躍した高橋建氏が12年ぶりにコーチとして復帰した。

 ここでは、カープOBの大野豊氏が現役時代共にした高橋建コーチについて語っていく。

◆若手左腕投手の良きお手本として期待

 プロ野球も2022年シーズンに向けて、各球団が来季に向けてさまざまな動きが出てきています。そんな中でカープもドラフトでの補強をはじめ、首脳陣に配置変えが多少ありました。投手陣では2021年まで阪神で6年間投手コーチを務めていた高橋建コーチが2022年シーズンから一軍投手コーチとして12年ぶりにカープに復帰することになりました。

 振り返れば現役時代、チームメートとして4年間一緒にプレーをさせていただきました(1995〜1998年)。彼は即戦力左腕としてトヨタ自動車から入団してきて、個人的には当初から彼の投げる球をずっと認めていました。それだけに、投げ方どうこうよりも、気持ちの持ち方、特にメンタルの部分はアドバイスをさせてもらった思い出があります。

 中継ぎからスタートし、先発ローテを支えるなど、当時左腕不足の投手陣の中で活躍しました。またベテランとなり、メジャーに挑戦した経験もあります。このように、現役時代のさまざまな経験というのは、彼にとって指導する上でも大きなものとなっているでしょう。

 かつてカープは慢性的な左腕不足に悩まされてきました。しかしながら、ここ数年は左腕投手の数も増えています。2021年に関しては、床田寛樹、高橋昂也、玉村昇悟らが先発として存在感を見せましたし、中継ぎでは森浦大輔、塹江敦哉らが奮闘するなど、若い左腕の台頭が目立ちます。

 さらに、2021年のドラフトでカープは1位で黒原拓未(関西学院大)、2位で森翔平(三菱重工West)を指名し、さらに新外国人としてニック・ターリーを獲得するなど即戦力左腕が加わりました。

 このように、2022年のカープ投手陣のメンバー構成を見ても、球団サイドとしては高橋コーチに対して「左腕のお手本」としての期待もあるでしょうね。また彼は阪神で二軍投手コーチとして長年指導を重ねてきただけに、若手に対する指導という面も期待されます。左投手がさらに機能するような状況をつくっていくという意味でも、佐々岡監督の期待も大きいでしょう。

 そして、左腕投手が増えて先発3人、リリーフ3人ずつくらいが1年間安定した力を発揮してくれるようになれば、ベンチとしてもさまざまなバリエーションが考えられるでしょうし、作戦面も大きく変わってきます。そう考えると左腕争いの激化というのは、これから非常に楽しみです。