広島アスリートマガジンWEBでは、これまでカープやサンフレッチェをはじめ、広島のスポーツの魅力を伝えてきた。そこで、昨年特に反響の多かった記事を振り返り、2022年のスタートを切る。

 今回は、3年目の昨季、一軍ショートに定着したカープ小園海斗の独占インタビュー。

 2018年、4球団競合の末、ドラフト1位で入団。当時の高校球界を代表する野手は、1年目から一軍を経験し、明るい未来を予感させた。しかし、2年目は一軍出場わずか3試合。悔しさを経験したことで、3年目の今シーズン、一軍でショートのポジションをつかみとった。ドラフトから飛躍を遂げるまでの軌跡を成長を続ける小園の言葉で振り返っていく。(全4回のうち3、4回目。1回目はこちら2回目はこちら)(2021年11月21日・22日掲載)

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昨季の自主トレはヤクルトの山田哲人と行い、日本を代表する打者から打撃の確実性を上げるための取り組みについて学んだ。開幕は二軍スタートも順調に結果を残し、4月22日に一軍昇格。自らの力でチャンスをつかみとり、一軍ショートに定着した。

◆規定打席到達は首脳陣のおかげ。起用していただけることに感謝

─成功も挫折もあった2年間を経て、今年、飛躍の3年目を迎えることになります。4月下旬に一軍昇格を果たすと、一気にショートのポジションに定着。攻守においてキーマンとなる活躍を続け、9月25日のDeNA戦では初の規定打席に到達しました。

「そこに到達するためには、ずっと試合に出続けなければいけないので簡単なことではありません。そして、試合で結果を残して首脳陣の信頼を勝ち取る必要があります。その中で、ずっと目標にしていた規定打席を、シーズン途中とはいえクリアできたのは、自分の力だけではなく起用していただいたからこそです。その感謝の気持ちのほうが大きいですね」

─コンスタントに結果を残していましたが9月上旬頃、結果が出ない日が続きました。調子を落としたことで打撃のアプローチで変えた部分はありますか?

「その頃は安打を欲しがり当てに行くバッティングが多く、打席で自分のスイングができていませんでした。なので、思い切って納得のいくスイングをしようと決めました。そこからですね、安打が出るようになったのは。空振りでもいいから積極的にいくのが自分の持ち味。早いカウントから、強いスイングでひと振りで捉えることを意識しています」

─6月下旬から3番に定着していましたが、9月からは2番を打つことが増えました。打順が変わったことで、心境の変化はありましたか?

「2番はバントもあれば、エンドランもあります。ベンチからのさまざまなサインに応えることができるようにしていかないといけません。いろんなシチュエーションを考えて準備しないといけないので、良い経験をさせてもらっています」

◆成長を感じた菊池涼介とのコンビネーション

─ショートのレギュラーとして出場を続けておられます。守備で自信になってきた部分などはありますか?

「まだまだエラーも多いですし、周りが見えていない時もありますが、これまでより、しっかりと打球をさばけるようになりました。また、守っている時に気持ちに余裕が出てきたのも大きいですね。前に出る、後ろに下がるといった判断を、打球が飛んできた時に考えることができるようになりました。これに関しては試合で起用していただき、一軍打者の打球を数多く経験できたからだと思います」

─一軍には、これまでショートを守ってきた田中広輔選手がいました。田中選手からアドバイスなどはありましたか?

「動き方に迷う部分があったら、『こういうプレーの時はどうしたらいいですか?』『中継のカットの入り方はどうしたらいいですか?』など、自分のほうから聞きに行っていました」

─今季の一軍の試合で、守備面で印象に残っているプレーはありますか?

「プレーを一つあげるのは難しいですが、自分の中で一番成長したと思えるのは、併殺打の時などに、セカンドのキク(菊池涼介)さんの動きに合わせることができるようになったことです。試合でキクさんと二遊間を組ませてもらうことで、シーズン前半戦はできなかったカバーや動きの連携が、少しずつではありますができていることに手応えを感じています。キクさんのレベルに少しでも近づけるように頑張りたいです」

─今年のカープは小園選手に代表されるように、投手・野手ともに若い選手が一軍に増えています。若い選手にチャンスが増えたことで、チームに新しい風が吹いているように感じます。

「ドラフト同期、特に同学年の4選手(林晃汰・中神拓都・田中法彦・羽月隆太郎)には負けていられないと思っています。一軍ではスタメンのチャンスを与えてもらっているので、自分が活躍し結果を残すことで、チームの力の底上げにつながればいいなと思いますし、自分をはじめ、若い選手が切磋琢磨して競い合うことで、チームがもっと活性化していけたらいいなと思っています」

─同期でいくと、ドラフト3位で入団した林選手も一軍に定着しています。小園選手からすると、林選手から受ける影響も大きいのではないでしょうか?

「そうですね。同級生なので負けたくない気持ちは強いです。林のことは中学の頃から知っていて、すごい選手だと思っていました。それが一緒にカープに入団し、一軍のスタメンにショートとサードで出場することができています。二人ともまだまだ一軍の経験は浅いですし、守備の面では、打球判断などの面で意思疎通がうまくいかない時もありますが、一軍の三遊間を任せてもらっている以上、しっかりとコミュニケーションをとりながらやっていきたいと思っています。よく考えれば林も同じ鞘師スカウト担当です。そこにも不思議な縁を感じますね」

●小園海斗(こぞの かいと)
2000年6月7日生(21歳)/兵庫県出身/178cm・84kg/右投左打/内野手/報徳学園高-広島(2018年ドラフト1位)
【2021年成績】113試合 打率.298 134安打 5本塁打 35打点 4盗塁