◆外国人補強の際に意識すること

 この時期からカープが連れてくる外国人選手に“当たり”の確率が増えたと言われるが、確かに僕もそう思う。これは国際業務部のスタッフと2人の駐米スカウト(エリック・シュールストロム、スコット・マクレーン)が良い仕事をしてくれたからだ。

 外国人選手の場合、僕が「ほしい」と言った人がすべて獲得できるわけでもないし、鳴り物入りで入ってきた選手でも日本の野球にまったく適応できないこともある。僕らはビデオを観て判断するしかなく、言い方は悪いが「日本にきてみて、さあどうか」というバクチのような側面もある。

 そんな中で僕が意識しているのは、選手のプレー以外の情報を集めてもらうことである。家族構成はどうだ? 性格は? 気が勝ってる方? ヘコむ方? わがまま? 賢い? 普段の生活でトッポいところがある? 派手系?……などなど。

 彼らのパーソナリティを探る中で僕が重視するのは、その選手がチームプレーができるかどうかということである。チームがひとつの方向に進もうとしているときに場をしらけさせるような勝手な行動をとらないかどうか、そこは非常に考慮する。

 日本人にも当てはまるが、そういう選手がひとりでもいたらカープというチームはダメになると思う。別に仲良しになることを求めているわけではない。ユニホームを着ているときは、チームのルールを遵守してほしいだけのことだ。会社員だって、同僚全員と仲が良いわけではないだろう。それでも円滑に仕事が進むのは、上に立つ者が会社の輪を乱す人間が入り込むことを極力防いでいる背景があるからだ。

●野村謙二郎 のむらけんじろう
1966年9月19日生、大分県出身。88年ドラフト1位でカープに入団。プロ2年目にショートの定位置を奪い盗塁王を獲得。翌91年は初の3割をマークし、2年連続盗塁王に輝くなどリーグ優勝に大きく貢献した。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁でトリプルスリーを達成。2000安打を達成した05年限りで引退。10年にカープの一軍監督に就任し、積極的に若手を起用13年にはチームを初のクライマックス・シリーズに導いた。14年限りで監督を退任。現在はプロ野球解説者として活躍中。