昨季、30歳の節目を迎えた1991年生まれの大瀬良大地、九里亜蓮、堂林翔太の3選手。置かれた状況も、立場も違う彼らは今季、いったいどんなプレーをファンに見せてくれるのか!?
◆現役を引退した今村のぶんまで。1991年世代の活躍に刮目せよ
30歳――。
一般社会でも“節目”と言われる年齢だ。会社員であれば仕事に徐々に慣れてきて、後輩も増えてきて責任あるポストを任される時期でもある。
しかし、プロ野球の世界は少し違う。
選手寿命の短いプロ野球選手にとって“30歳”はひとつの壁でもある。身体能力は徐々に衰え、それを経験や技術で補う必要も出てくる。事実、プロの世界で30歳を超えて現役を続けることのできる選手はひと握りだ。
カープには昨年、30歳を迎えた1991年度生まれの選手が4人いた。
大瀬良大地、九里亜蓮、堂林翔太、そして今村猛だ。
ご存じの通り、今村は昨季限りで現役を引退。リーグ3連覇に大きく貢献し、球団歴代最多の115ホールドを記録した右腕ですら、ユニホームを脱がなければいけない。プロ野球の世界の厳しさを、まざまざと見せつけられた引退劇だった。
残る3人にとっても、昨季は三者三様のシーズンだったと言える。
大瀬良は離脱がありながらも2年ぶりの2ケタ勝利を記録。今季は選手会長にも就任し、これまで積み上げてきたモノを“確固たるもの”としたシーズンだった。
九里にとっての昨季は“飛躍”のシーズンだったと言える。同期入団の大瀬良が1年目から活躍する一方で、プロ入りからなかなか思うような結果が出なかった。それでも2018年から先発ローテに定着すると、昨季は自身初の2ケタ勝利となる13勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得。2年連続で規定投球回に達し、大瀬良、森下暢仁と共に先発ローテの“柱”となった。
そして堂林。“鯉のプリンス”にとって昨季は、“試練”のシーズンだったと言える。プロ3年目で全試合出場を果たしブレイクしながら、その後、思うような結果を残せなかったが、2020年に復活。14本塁打、58打点をマークするなどキャリアハイの成績を残し、30歳を目前に再ブレイクを果たした。しかし昨季は、林晃汰ら若い世代の台頭で出場機会が再び減少。打率はキャリアワーストの.190、本塁打も2年ぶりに0に終わった。
エースとして絶対的な信頼を寄せられる大瀬良、飛躍を遂げた九里、世代交代の波に苦しむ堂林――。
置かれている状況も、立場も違う3人の1991年世代だが、少なくともこれまでのカープを、今村を含めた彼らが支え続けてきたのは確かだ。
迎える今季、大瀬良、九里の2人には先発陣を“支える”役割が求められる。森下や玉村昇悟といったイキの良い若手もいるが、キャリア豊富な彼らが“軸”になってこそ、投手陣に安定をもたらすことができる。
一方の堂林に期待されるのは“三度目のブレイク”だ。プロ野球は確かに栄枯盛衰の世界だが、30歳を超えた堂林が20代前半の若手とレギュラーを争うようなことになれば、それはチーム力の底上げに直結する。
まだまだ大瀬良、九里、堂林に懸かる期待は大きい。現役を引退した今村のぶんまで、2022年は、彼ら〝1991年世代〟の活躍を楽しみに見守りたい。
文/花田雪