サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。新シーズンに挑むチームへの想いを語ってもらった。※取材は2月上旬。

今シーズン注目の藤井智也。キャンプでは、自らゴールを狙う動き、アシストの精度に磨きをかけた。

◆俺が決めるという若手選手のギラギラした勢いが見たい!

 2月3日から行われた宮崎での二次キャンプは、攻撃の連携など戦術面でのトレーニングを中心に行われていました。トレーニングマッチを見ていると、とにかく攻守の切り替えを早くすることと、縦への意識の強化を目指しているように感じられました。

 ボールを持ったら、ディフェンスラインの裏など相手の一番嫌がるところを狙い、相手の守備網を広げさせる。前線から守備をして、積極的なサッカーをしようとしているように感じました。

 そんな中、今一番注目しているのはMFの藤井智也です。

 青山敏弘がよく「若い選手にどんどん要求してもらいたい」と口にしていますが、その点、藤井は青山に対しても積極的に要求してくるようになったそうです。昨シーズン最終戦でのプロ初ゴールのように、トレーニングマッチでも青山から藤井にドンピシャのパスを供給していましたし、これまでの積み重ねが形になってきているのでしょう。

 そんな藤井に「青山が『今シーズン一番注目の選手かもしれない』と言っていたよ」と話すと、すごく喜んでいましたね。私からも「自分が思うことを思い切りぶつければいい。必ず周りは応えてくれるよ」と伝えました。

 ピッチに出たら、若手もベテランも関係ありませんから、自分の武器や個性を発揮するために、どういうタイミングでどんなボールが欲しいかをどんどん要求して、自分を光り輝かせてほしい。お互いに厳しく要求して、高め合っていけるようなチームになってほしいと願っています。

 藤井には、右サイドを武器としたアシストと、ゴールを量産できる可能性が充分にあります。クロスの質も本当に高くなりました。今シーズンは相手からのマークも厳しくなってくると思いますが、味方をどんどん使って自身の魅力を発揮したプレーをしてもらいたいです。

 藤井の他にも、仙波大志、満田誠、棚田遼といった新加入選手や、トレーニングマッチで得点を上げている鮎川峻、永井龍、浅野雄也にも注目です。トレーニングマッチで数字を残せば開幕スタメンに選ばれる可能性が出てきますし、そこで勢いがつけばレギュラーを取ることも充分にあり得ます。

 外国人選手は、入国時期の関係で遅れを取ることになりますから、逆に考えると、前線の日本人選手にとってはチャンスでもあります。「絶対に自分が中心となって点を取るんだ!」というギラギラした気持ちを持って、チャンスをつかみ取ってもらいたいですね。