サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。新シーズンに挑むチームへの想いを語ってもらった。※取材は2月上旬。

キャンプ中のトレーニングマッチで計7得点。ストライカーとしての期待が増す鮎川峻。164cmと小柄な体格ながら得点の嗅覚に優れている。

◆新監督の下で始まる挑戦。リーグ上位を狙える実力は充分!

 鮎川峻は、トレーニングマッチ5試合で計7得点を決めています。裏への抜け出しや高いテクニックなどを、これからもどんどん発揮してもらいたいです。さらに浅野も、トレーニングマッチで4得点と結果を残しました。

 彼は今シーズン、大ブレイクしないといけないレベルのポテンシャルを秘めた選手です。

 ケガから復帰した永井龍についても、練習の前後に一人で入念にステップを踏んだり、細かい体の動きの部分に取り組んでいる姿を何度も見かけました。昨シーズンはケガで悔しい思いをした分、今年は絶対にやってやるんだという決意を感じましたね。彼もトレーニングマッチで得点を決めていますし、前線からの守備も強い。大きな戦力になる選手だと思います。

 続いて、今季からサンフレッチェに復帰した野津田岳人について。全体練習が終わった後にコーチとマンツーマンで熱心にステップワークをしている姿などから、シーズンにかける強い思いを感じました。きっと、「今年がラストチャンスだ」という決意で広島に戻り、今シーズンに臨んでいるのだと思います。

 野津田は広島出身で下部組織から上がってきた選手なだけに、応援しているファンやサポーターがすごく多い。これまでは、野津田本人のしたいサッカーと、チームの目指すサッカーがマッチしていなかった部分もあったのでしょうし、気持ちが入りすぎて空回りするなど、さまざまな要素があって結果に結びつかなかったのだと思います。

 個人的に今シーズンは、いっそ「開き直ってプレーする」ぐらいの気持ちで取り組んでもいいのではないかと思います。彼には強烈なシュートのほかに運動量という武器もありますし、これまでの経験を生かしてボランチでの活躍に期待したいですね。  

 今季、チームがどのようなシステムで戦っていくのか。まだまだ未知数の部分が多いです。ただ、おそらくフォーメーションは3バックになるでしょう。DF陣は佐々木翔、荒木隼人、野上結貴の鉄壁の3人がそろっているうえに、塩谷司や今津佑太が代わりに入っても守備の堅さは揺るぎません。塩谷はボランチでの活躍も期待できますし、本当に頼もしい存在です。

 全員が同じ画を描き、目指す形を突き詰めて連携を深めていけば、ゴールのチャンスは必ず増えていくはずです。スキッべ新監督の指導で結果を出していきながら、いろんなことにチャレンジできる飛躍のシーズンになることを願っています。