徐々にスタメン起用も増え、いまやレジーナのゲームメークに欠かせない存在となっている小川愛。常に『誰かのために』、全力でサッカーと向き合う姿が印象的な彼女のバックグラウンドは、中学・高校6年間の寮生活にあった。後半戦の活躍が大いに期待されるMFの声を届ける。
※取材は2022年1月上旬。

MFとして急成長を続ける小川愛。

◆勝利につながる全力プレーで魅せる

─グローバルな生い立ちの小川選手ですが、サッカーを始めたきっかけを教えてください。

「小さい頃から家族の転勤で、ミャンマー、ナイジェリア、ベトナムで過ごしました。5歳のときに帰国して入った幼稚園で、男の子たちがボールを蹴っているのを見て、自分もやりたい!と思ったのがサッカーにふれるきっかけでした」

─中学からは、鹿児島の神村学園で寮生活をしながらサッカー部に所属されました。大変なことも多かったのでは?

「家族と離れての生活でしたが、実は大変だったという記憶はあまりないんです。むしろ、それまでの海外生活では、仲間と練習をしたり試合をしたりという経験がなかったので、チームメートと毎回練習ができて、一緒に目標に向かって頑張れるという環境がすごくうれしかったですね。サッカーのうまいチームメートに囲まれることで向上心も生まれましたし、毎日がすごく楽しかったです。それに、鹿児島は国内なので日本語も通じますしね(笑)」

─そうした学生時代の経験が、今の小川選手を支えているのですね。

「そうですね。中高6年間で、サッカーを通じて“誰かのために頑張る大切さ”を学びましたし、人間的な部分でもすごく成長できたと思います。一方で大学のサッカー部では、高校とはまた違う難しさを感じました。チームには、全国大会に出たことのある選手もいれば、大学でサッカーを始めたばかりの選手もいて……。さまざまな背景を持つ一人ひとりの選手と話し合いながら、いかにモチベーションを高く維持してチームをまとめていくかが難しかったのですが、その分やりがいや成長も感じました」

─レジーナへの加入を決めた、一番の決め手を教えてください。

「大学OGには、一般企業に勤めながら『なでしこリーグ』でプレーしている先輩もいて、その方に聞いた話を参考にしたりもしました。最終的には“自分はまだまだサッカー一筋でやりたい”という強い気持ちと、やるからには全力で取り組める環境に身を置いた方がいいと感じたことが、レジーナ加入の大きな決め手になりました」

─チームで影響を受けている選手は?

「同じポジションの近賀ゆかり選手です。近賀選手から学ぶことは、本当にたくさんあります。プレーで言うと、とにかく『関わり続ける』ところが近賀選手のすごさです。攻撃では“一つの動きが必ず次につながっていく”ところが、見ていて勉強になります。守備では、近賀選手の『危機察知能力の高さ』に憧れていて、私もそこを高めたいと思っています。“ボールが抜けそうで危ない”と思う場所には、必ず近賀選手が誰よりも早く走り込んでいるんです。実際にそれで失点が防げた場面もかなりありました。隣でプレーしながら、たくさんのことを吸収させてもらっています」

─シーズン後半に向け、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

「武器にしている展開力やロングシュートを、チームの勝利につなげられるようにしていきたいです。積極的に得点にからんでいくプレーを見てもらえるように頑張りますので、応援よろしくお願いします!」

◆プロフィール
#15 小川愛
1998年9月23日 東京都出身/MF/161cm・51kg 
バディFC→神村学園中→神村学園高→慶応大。
キャプテンを務めた神村学園高では、第24回全日本高校女子サッカー選手権大会で準優勝。慶応大でも副キャプテンを務めるなど、チームのまとめ役として活躍。大学卒業後の2021年、レジーナに加入。