相手チームの前に立ちはだかり、ゴールを堅守する木稲瑠那。リーグ後半戦に向け、本格始動したレジーナの守護神が語る自身のルーツ、GKの魅力、そして広島の街への想いを届ける。
※取材は2022年1月下旬。

レジーナのGKとして活躍を続ける木稲瑠那

◆堅い守りで勝利を引き寄せる

─木稲選手がサッカーを始めたきっかけを教えてください。

「実は小学3年生まで広島に住んでいて、近所のバスケチームに入っていたんです。ただ、4年生で引っ越した福岡では近くにチームがなくて……。体を動かすことが好きだったので何かスポーツができる場所がないかと探していた時に、少年サッカーのチームを見つけたのがきっかけでした」

─当時から、ポジションはGKですか?

「本格的に練習するようになったのは5年生の時でしたね。その頃ちょうど女子W杯(2011年ドイツ大会)が開催されていて、代表GKの海堀あゆみ選手がPKを止める姿に憧れて自分から『GKをやってみたいです』と言いました。当時はチームメートも対戦相手も男の子ばかりだったので、最初はシュートを止めるのも怖かったですし、何より強いボールが当たって痛かったのをよく覚えています(笑)」

─痛みや怖さとの戦いでもある大変なポジションだと思いますが、木稲選手がGKの魅力を感じるのはどんなときですか?

「シュートを止めたときにチームメートが駆け寄ってきてくれる瞬間です。GKは自軍のゴール前から離れられないので、試合中に仲間と一緒に集まって喜んだりしづらいのですが、自分が相手のシュートをうまく止めると仲間が駆け寄って声をかけてくれたりハイタッチをしてくれたりするので、それが一番うれしい瞬間ですね」

─チームには、代表歴のあるGK・福元美穂選手もいます。福元選手から受ける影響も大きいのではないですか?

「すごく大きいですし、身近にお手本となる選手がいてくれるのは心強いですね。フクさんの練習に取り組むストイックな姿勢や試合中の視野の広さ、声の掛け方を見て毎日勉強しています。フクさんの真似をすることは自分自身の成長にもつながると思うので、全てできるわけではないですが積極的に真似していこうと思っています」

─小学3年以来の広島生活ですが、街の印象は変わっていましたか?

「レジーナに加入して思ったのは、『すごく温かい街だな』ということです。グラウンドで練習をしていると、散歩で通りかかる人が挨拶をしてくれたりするんです。そういうシーンを見ると、サンフレッチェやレジーナが街に愛されているのだと感じますし、いち選手としてうれしくなります」

─カラフルな髪色が印象的ですが、今後挑戦したい色はありますか?

「周りからはピンクやオレンジを勧められます(笑)。いつかそういう色にもチャレンジしたいなと思っています。髪色にこだわるようになったのはWEリーグのプレシーズンマッチが始まるタイミングです。自分自身、心機一転したいという思いでチームカラーの『紫』に染めたのが最初でしたね」

─後半戦への意気込みをお願いします。

「チームとしてはリーグ戦ホーム初勝利、個人としては1試合の平均失点を減らすことが目標です。ホームの観客動員数を増やしたいという思いがあるので、SNSでどんどん発信もしていきたいですね。スタジアムや配信で、たくさんの方に試合を見てもらえるように一生懸命頑張りますので、応援よろしくお願いします!」

◆プロフィール
#1 木稲瑠那
2000年8月6日 福岡県出身/GK/176cm・70kg
藤枝順心高在学中の2017年、第26回全日本高校女子サッカー選手権に出場。GKとして全試合に出場しチームの優勝に貢献した。卒業後はジェフユナイテッド市原・千葉レディースに所属。2021年、サンフレッチェ広島レジーナに加入。