サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。今回は、シーズン初勝利以降、快進撃が続くサンフレッチェの戦いを振り返り、チーム躍進の理由を語ってもらった。※取材は4月上旬。

ポテンシャルの高さはトップクラス。今シーズン注目したい住吉・ジェラニレショーン。

多くの広島県民に観てほしい! 今シーズンのプレーは見応え充分

 好調が続くチームのなか、毎回言っていますが、柏好文、青山敏弘、柴﨑晃誠らベテランの存在も素晴らしい。

 若手の台頭もありベンチに下がる試合が多くなっても、落ち込まず、試合に出れば必ず良い働きをしてくれます。しっかりと守備をこなし、決定機もつくり、チームの雰囲気をつくってくれている。終盤に出場したベテラン選手が懸命に走り回る姿を見せれば、若手も気を抜いてはいけないと感じるでしょうし、負けじとプレーできると思います。

 経験豊富で実績のある選手たちの姿勢が、チームに大きな影響を与えているのは間違いありません。GKは特に良い例です。大迫敬介は林卓人の背中を見て、ここまでのGKに成長したのですから。

 これから暑さが厳しいシーズンに入っていきますが、夏場になれば、いま離脱している鮎川峻や川村拓夢らが戻ってきてくれるはずです。選手層に厚みが出れば、厳しい夏でもいまと同じようなサッカーを続けていけると思います。

 また、住吉ジェラニレショーンの起用を視野に入れて、トレーニングでは4バックも試しているようです。守備のサイドを強化したいということと、住吉を試合で使いたいという監督の狙いがあるのでしょう。彼は守備が強く高さもあり、ポテンシャルは相当なもの。実際の試合で4バックを採用するかどうかはまだ分かりませんが、これから必ず出場機会は増えてくると思いますから、引き続き注目していきたい選手の一人です。

 今季のサンフレッチェは本当に面白い試合が続いています。シーズンを通してこのサッカーを続けることができれば、上位も十分狙っていけるでしょう。このアグレッシブなサッカーができているのは、もともと運動量のある選手がそろっていたことに加え、トレーニングから意識してプレッシングサッカーを続けている成果です。

 コロナ禍では観戦できる人数も制限されていましたが、動員の上限が解除された現在でも、まだ観客数は戻ってきていません。

 しかし、今のサンフレッチェならば、「サッカーってこんなに面白いんだ!」と思ってもらえる、躍動感のある試合を見せられるはずです。選手も連勝したことで、自信を持って戦えていると思います。

 彼らの力で観客を呼び戻し、紫に染まるエディオンスタジアムで観客を魅了するサッカーを見せてもらいたいですね。