開幕から好調な戦いぶりを見せる中で投手陣の安定感が光っているカープ。今回のコラムでは、今シーズンも先発の柱としての活躍が期待される森下暢仁について、OBの大野豊氏に語ってもらった。※取材は4月上旬。

開幕から順調なスタートを切った3年目の森下暢仁。バットでのアピールも目立っている(今年の春季キャンプで撮影)

◆先発3本柱の一角として森下の安定感は今年も健在

 プロ3年目を迎える森下暢仁について触れていきます。ルーキーの時から安定感が特徴的ですが、開幕からしっかりと試合を作ることができている点はさすがです。

 今季初登板となった開幕2戦目(3月26日対DeNA・横浜スタジアム)では8回までに98球を投げて無四球という結果でした。また4月2日(対中日・バンテリンドーム)も7回を投げて112球という内容でしたから、そこまで球数も多くはありません。

 1年目に新人王の活躍、昨季は8勝しかできなかったという結果もある中で、森下自身今年にかける思いは相当強いものがあるのでしょう。自身に勝ちはつかなかったですが、チームや自身が勝ってもおかしくない投球内容でここまできているという印象はあります。やはり並大抵の若手投手ではないと感じさせるような、力のある選手だと思います。あとは投打のバランスもありますから、打線の援護さえあれば勝てるようになるのではないでしょうか。

 また3月26日の試合では、4打数3安打3打点と打撃でも結果を残しています。攻撃時、チャンスの場面で自ら打って点を取れば、その後の投球がさらに楽になるわけですから、そういう意味での貢献度も非常に高い投手と言えるでしょう。打撃に関しては置いておくとしても、投球は決して悪くない内容でここまできていると思います。

 森下は、1年間ローテーションを守って勝ち星を増やしていってもらわなければならない投手ですから、まずは故障なくシーズンを戦い抜いてほしいですし、そうすれば自然と結果はついてきてくれるでしょう。森下は大瀬良、九里と共に先発の看板ですから、今年は二桁勝利を目標にして、10勝、15勝を狙っていってほしいですね。

 最後に先発ローテーションについてですが、開幕から第1カードは大瀬良の次に森下が投げ、第2カードの先頭が九里という布陣となっています。その中で左投手の床田と玉村が連続して先発しているので、『そこを分けてはどうか』という意見もあるかも知れません。ですが、今の戦力の振り分けとしては、このバランスが良いと感じています。

 長いシーズンを戦う中で、天候の影響で登板日がズレることも当然ありますし、調子や故障などで布陣が変わることもあるでしょう。しかしながら、シーズン開幕からここまでの先発投手陣の投球内容を見ると、現状の先発ローテーションで良いと思っています。