プロ2年目の昨季はチームトップの投球回を記録しながら、勝てない苦しみも味わった。残した数字は到底納得のいくものではない。しかし森下は、課題を成長の原動力にしてきた。今回の独占インタビューでは、『5つのトピック』をもとに、森下本人の言葉で“進化の秘密”を探っていく。(全3回のうち1回目・取材は2022年4月上旬)

森下暢仁はプロ1年目から佐々岡真司監督が現役時代につけていた背番号18を託された。目に見えない重圧もあったはずだが、プロ1年目は防御率1点台を叩き出すなど、抜群の安定感を武器に新人王に輝き、周囲を納得させる結果を残した。

◆トピック1・先発の流儀

─プロ入り以降、先発ローテに定着し、1年目に10勝、2年目に8勝をあげられました。先発として安定した投球をみせるため、登板に向けたルーティンで大切にしていることはありますか?

「僕の場合、特にルーティンはありません。先発は1週間に1試合しか投げないので、その1試合にどれだけ良い準備をして臨めるかを常に考えています」

─良い結果を残すためには気持ちの切り替えも大切です。リフレッシュの部分で意識していることは?

「うーん……プロ入りしてからコロナの影響でなかなか外出もできないので、帰ってからトレーニングをすることも多いです。いまのところ、特別こだわったリフレッシュ方法はないですね」

─森下投手の武器であるストレート。年々進化を遂げているという声も多いですが、ストレートの質と精度が良くなっている手応えは感じていますか?

「今年の春季キャンプでは良いストレートを投げることができているなという感触はありました。ただ、正直なところまだまだですね……。シーズンに入ってからの球には全然満足していません。ストレートをしっかりと投げ切ることができれば、もっと良い結果が出せると思うので、現状に満足せず、向上心を持って取り組んでいきたいと思っています」

─プロ2年目の昨季は7月中旬から10月中旬までの約3カ月間、勝ち星をあげることができませんでした。勝てない苦しみもあったと思いますが、この期間は森下投手にとってどんな時間でしたか?

「いま振り返ると、いろんな挑戦ができた期間だったと思います。どうすれば勝ち星がつくか、いろいろ考えましたし、調整面でもさまざまな工夫をしました。その3カ月間は、良い投球ができた試合もあれば、悪い部分が出た試合もありました。悪かった時は何がダメだったのかを考え反省して、次の登板に臨んできたつもりです。〝勝てなかった〟というのも大事な経験だと思うので、今後のプロ野球人生に活かしていきたいと思います」

体のバネを活かした躍動感のあるフォームから放たれる力強い球にファンは魅了される。森下暢仁の投球内容を見るとストレートの比率が多い。それだけに、ストレートでカウントを稼ぐことができるかどうかが、森下の調子を測るバロメーターの一つとなっている。