前回(連載第2回)でもご紹介した、“大人が甲子園出場という夢の舞台を目指す”マスターズ甲子園。

 連載3回目のとなる今回は、マスターズ甲子園広島で事務局長を務める岩見強志さんにマスターズ甲子園への思い、野球と現役球児への思いなどを聞いた。

呉港高校硬式野球部OB。広島県高校野球OB連盟(マスターズ甲子園広島)事務局長。

◆「野球が好きだ」この思い一つで

 私は現在、マスターズ甲子園広島の事務局長として、グラウンドの予約管理など含めてサポート業務全般を担当しています。会長も呉港出身なので、そういったご縁もあって引き受けさせていただきました。

 今年は、副会長と同じく、来年の中四国大会で広島から優勝校として出場してもらいたいという思いが強いので、サポートにもより一層気が引き締まります。今は26校がマスターズ甲子園に出場しているのですが、今後は30校の参加まで目指しています。

 今でも高校野球経験者から、この『マスターズ甲子園の存在を知らなかった』というお話をまだまだ聞くので、特に若い年代にも広めていきたいと思っています。私たちの代だけで盛り上がっていても大会は続いていかないので、本大会のコンセプトどおり“世代を超えたもの”にしていきたいです。

 私が野球をやることになった経緯ですが、小学生のときにソフトボールチームができたのでそこに参加したのがきっかけです。中学生で野球部に入って「野球が好きだ」と思ったので、そのまま続けたいという思いで野球の伝統のある高校を選びました。

 本当に「野球が好きだ」という思い一つで今に至っています。もちろん高校の野球部は厳しかったので苦しい3年間だったんですが………、監督やコーチに続けてみろと言われたので大学でも野球を続けました。野球を離れられないのは、競技が団体戦ということもあり、まわりに仲間がたくさんいるので、常に何かでつながっているというのも大きいかも知れません。

 高校時代で一番覚えているのは、練習でノックを受けているとき監督に「お前どけ」と言われたことです(笑)。悔しいので声を張り上げて「もっと打ってこい」と返したんですが、そのときのやり取りが妙に忘れられないシーンです。辞めたいと思ったこともあるんですが、やっぱり“野球っていいんだよ”と思うし、もっともっと伝えていきたいと思います。

 

 今は、朝日新聞の折り込みチラシの広告営業という仕事に就いているんですが、野球は先ほど言ったように団体スポーツなので、意外と「俺が俺が」と主張ばかりするのではなく、みんなの意見を聞くという姿勢が培われて、その経験が今に活きていると思います。

 いろんな人が集まってチームになりますし、いろんな人が集まって会社が成り立つものです。最初は苦手だなと感じた人がいても、いろんな人がいる環境に慣れていることで“そういう人もいる”と思えるので、一歩踏み込んで親身になって話したりできるのは強みだと思います。

 今甲子園を目指している現役の高校球児のみなさんには、チームメートとのつながりを大事にしながら野球を楽しんでもらいたいです。その結果、野球を続けていってもらえるとうれしいですね。