カープの堂林翔太が、7月17日の巨人戦で代打逆転満塁本塁打を放った。チームにとっては3日連続の満塁弾となり、カープは10対5で勝利。敵地東京ドームで3連勝を飾った。

 ここでは、3連勝を引き寄せる満塁弾を放った堂林翔太が広島アスリートマガジンに語った独占インタビュー(2022年5月取材)をお送りする。

7月17日の巨人戦で代打逆転満塁弾を放った堂林翔太選手

◆昨季の失敗をマイナスにならないようにしていく

─4月23日から5月6日にかけて12試合連続安打を記録するなど、しっかりとバットが振れている印象を受けます。今シーズンは良い感覚で打席に立つことができているのではないですか?

「今季は練習から、自分のイメージ通りに打てている感覚があります。なので変に気負うことなく、練習と同じような気持ちで打席に立つようにしています」

─2020年以来、約2年ぶりに本塁打も放ちました(4月23日・DeNA戦)。マツダスタジアムのバックスクリーン横に飛び込む滞空時間の長い当たりでしたが、手応えはいかがでしたか?

「あの打席は、しっかりとバットで捉えることができた感触があったので、打った瞬間、入るだろうなと思いました。迷いなく振り切り、センター方向に理想に近い打球を打ち返すことができましたし、何よりもチームの勝利につながる一打になったのがうれしかったですね」

─4月29日の中日戦(バンテリンドーム)で、高校(中京大中京)の後輩にあたるプロ2年目の髙橋宏斗投手から放った2本目のアーチも印象深いです。この試合は、堂林選手の本塁打による1点を同学年の大瀬良大地投手が完封で守り切り勝利。髙橋投手の力強いストレートを完璧に跳ね返した本塁打でした。

「あの場面は3ボール1ストライクと打者有利のカウントだったこともあり、ストレート一本に絞り待っていました。しっかりと捉えることができてよかったです」

─昨季は一軍でなかなか結果を残すことができませんでしたが、今季はここまで順調に結果を残されています。その要因はどこにあると思われていますか?

「開幕直後は、試合に出たり出なかったりの日々が続いていましたが、準備だけはしっかりするように心がけていました。それが大きいのかなと思っています」

─シーズン序盤は、相手投手との相性によってスタメン起用されていました。

「そうですね。相手の先発を見て、この日はスタメンかなと予想しながらやっていました。ただ、準備はしっかりして試合に臨めていたので、スタメン出場した試合では安打を放つことができました」

─結果の面でいくと昨季は悔しい1年に終わりました。今季を迎えるにあたり、プレー面や考え方などで昨季から変えたことはありますか?

「特に変えたことはありません。自分の中で決めているのは、昨季の失敗をマイナスにならないようにしていくことです。昨季の悔しさを今季に活かしていけるように心がけていますし、今シーズンが終わったときに、昨季があったから今季につながったと思えるようにプレーしていきたいです」

─プロ13年目の今季、8月に30歳となります。20代の頃と比べて心境の変化はありますか?

「そうですね……周りを見渡せば、自分より若い選手ばかりなので、試合に出たときは結果を残さないといけないと一層強く思うようになりました。逆に結果が全てと割り切れている部分がいいのかもしれないですね。もちろん内容も大事ですけど、結果を出さないと試合で使ってもらえませんから。とにかく結果を出して自分の存在を示していきたいと思っています」

─20代の頃は、結果以上に、より良い内容を求めていた面もあったのでしょうか?

「今も内容を求めていないわけではないのですが、アプローチの面で、より結果にフォーカスして取り組むようになりました。今季は、スタメン出場が続く前から練習で良い内容が続いていたので、スタメンで出たときも、〝練習通りやればいい。そうすれば自然と結果も出るはず〟と考えられるようになりました」

─今年は九里亜蓮投手と共にチームの副会長を務め、選手会長の大瀬良投手を合わせた同学年3人で、チームをまとめる役割も期待されています。

「同学年3人に大事な役割を任せてもらっているので、なにかあったらしっかりコミュニケーションをとっていこうという話はしています。ただ、今季に関してはここからでしょうね。いま、チームは良い位置で戦えているので、負けが続き苦しくなったときに、チームのためになにができるかが大事になってくると思います。僕の場合は、言葉で引っ張るタイプではないので、試合でのプレーや普段の立ち居振る舞いで示していけたらと思っています」

─リーグ3連覇時は、広島の街も大いに盛り上がりました。あの3年間は、今の堂林選手にどんな影響を与えていますか?

「僕は3連覇の頃は、数多く試合に出ていたわけではないので経験や影響を語れるような存在ではないと思っています。一軍ベンチには入っていましたがグラウンドにはいなかった、その悔しさはずっと胸の中に居座っています。だからこそ、次こそは、結果を残したうえで優勝メンバーの一員になりたいと強く思っています」

─GWに開催された巨人3連戦は3日間全て満員になるなど、今季は、ファンの方が球場に足を運べる日常が戻ってきました。約3年ぶりに赤一色に染まった球場でプレーする気持ちはいかがですか?

「一昨年、去年とは違う緊張感がありますね。こうやってたくさんのファンの方に応援してもらえることは選手冥利に尽きますし、やっぱり大きな力になります。良い雰囲気のなかで野球をやらせてもらえていることに感謝しています」

─最後に、昨季の悔しさを払拭する逆襲のシーズンを戦っていくうえで大切にしていることを教えてください。

「今季はスタメンで使ってもらえる試合が増えましたが、そうなる前から、どんな状況でも、やるべきことを〝毎日コツコツと継続する〟と決めていました。ずっと状態の良さが続けばいいですが、そう上手くはいかないので、例え状態が悪くなったとしても、その〝コツコツ〟だけは忘れず、最後まで諦めることなく戦っていきたいです」