◆課題のひとつが9月以降の失速

 だが、そこから最後の力を振り絞ってラストスパート……という9月以降の局面で、チームが抱える脆さが出てしまった。結果を意識し始めた途端、一気にやられてしまった。「さあ、これからだぞ」と思った矢先の9月6日から、チームは1勝8敗。ここでこの年の大部分は決してしまった。

 これがさっきも指摘した、チームが今後克服していかなければいけない課題のひとつ、「9月以降の失速」である。一番ピークを持ってこないといけない8月末~9月の時点でチーム力が落ちてしまった。まくらなきゃいけない立場なのに、まくるどころかあっけなく脱落してしまった。

 盛り返せなかった理由としては、余力が残っていなかったということもあるだろう。実際8月末の時点でいっぱいいっぱいという選手が多かった。そして「ここからだぞ!」というときに、「ここからか……」となってしまった。首脳陣も選手もスパートのかけ方を知らず、久しぶりのAクラス入りのチャンスを前に全員の経験不足が露呈してしまった格好となった。

●野村謙二郎 のむらけんじろう
1966年9月19日生、大分県出身。88年ドラフト1位でカープに入団。プロ2年目にショートの定位置を奪い盗塁王を獲得。翌91年は初の3割をマークし、2年連続盗塁王に輝くなどリーグ優勝に大きく貢献した。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁でトリプルスリーを達成。2000安打を達成した05年限りで引退。10年にカープの一軍監督に就任し、積極的に若手を起用13年にはチームを初のクライマックス・シリーズに導いた。14年限りで監督を退任。現在はプロ野球解説者として活躍中。