今シーズン、カープのショートは高卒4年目の22歳・小園海斗がレギュラー確保に向けて奮闘を見せている。ここでは、かつてカープのショートを守ってきた“遊撃手たちの言葉”を改めて振り返っていく。

 今から16年前の2006年、当時カープの懸案事項だった二遊間に1人のルーキーが定着した。地元広島県出身・社会人野球の日産自動車から即戦力として期待され入団した梵英心(現・オリックスコーチ)である。

 新人ながら開幕スタメンを果たした梵は新人王に輝き、その後2010年には盗塁王とゴールデングラブ賞(遊撃手部門)を受賞し『カープのショート』としての地位を確たるものにしてみせた。

 ここでは、広島アスリートマガジン2006年7月号に掲載された独占インタビューを再編集してお届けする。

2006年、プロ1年目からカープの二遊間を守った梵英心。入団時の背番号は32だった。

◆「ショートは全部のプレーに入っていかないといけないポジション。内野の要ですね」

ー『開幕レギュラー宣言』をしてプロ入り、本来のポジションであるショートではないものの、セカンドとして有言実行を果たしました。セカンドの守りについてはいかがでしたか。

「僕は器用そうに見えるかもしれませんが、実は不器用なところもあるんです。セカンドはショートと逆の動きになるので、最初は少し戸惑いました。でも、開幕前に監督から『セカンドで使っていく』と言われていたんです。だからショートを捨てたわけじゃないですけど、試合に出られるならセカンドでも頑張っていこうと思いました」

ー4月下旬からは、ショートの守備に入ることになりました。アマチュアとプロでは実際に守ってみてどのような違いがありますか。

「細かい連携プレーやダブルプレーの動きに関しても、速さを求められますね。さらにその速さの中に正確性も必要になってくるのが大きな違いだと思います。今はそれに適応していますけど、見えないミスがあるので、まだまだ勉強しながらやっているところです」

ーただ、エラーの数は少ないですよね(交流戦1巡目までに2個)。どのようなことを念頭において守っているのですか。

「どんな形で捕ってもアウトにするということです。それが自分のポリシーなんです。だから『とにかくアウトにする』ということを一番に考えています」

ー今年の内野陣は、全体的にセカンドベース寄りにポジションをとっていると思います。それについてはいかがですか。  

「確かにそういう体系にはなっていますし、僕も基本的にはセカンドベース寄りに守っています。ただ、ショートはキャッチャーのサインが全部見えるしバッターのスイングもわかるので、自分の感性というか、見る目を信じて、試合の中でベンチの指示に従いながらもポジションの修正はしているんです。そうやって一歩動いたことでアウトにできたものも何回かありますね。ただ、今はまだバッターの特性を全て把握していないので、できるだけ観察するようにしています」