昨季のリーグ開幕戦となった、ちふれASエルフェン埼玉戦で左膝前十字靭帯損傷の大ケガを負ったサンフレッチェ広島レジーナ・増矢理花。長いリハビリを終えた今季は、復活のシーズンとなる。
壁を超えて次のステップに進み始めたMFの思いを聞いた。
◆焦る気持ちを和らげてくれた、家族からの魔法のメッセージ
─WEリーグ1年目はケガと向き合ったシーズンとなりました。復帰まで長い時間を要しましたが、どんな気持ちでリハビリと向き合ってこられましたか?
「リハビリは復帰するために必ず通過しないといけないポイントなので、サッカーはできないですけど、ピッチに帰ってくるために“毎日が大事だ”と自分に言い聞かせてリハビリに取り組んできました。実はケガをした瞬間に“もう私の今シーズンは終わったな……”と思ったので、気持ち的に尾を引くことはありませんでした。また私自身、落ち込み過ぎるタイプではないので、ケガをしてしまったものは仕方がないと考えるようにしていました」
─気持ちを切り替えて、その先を見据えるように心がけたわけですね。
「そうですね。起こってしまったことを変えることはできないですし、なんでケガをしてしまったのだろうと後悔しても何も良いものは生まれませんから。復帰するために何をするべきかや、今後ケガをしないようにするためにはどうすればいいかを考えるように気持ちを切り替えました」
─本格的なプレーができるまで時間がかかりましたが、ピッチに戻るまでの期間、支えになったものは何ですか?
「たくさんのエールですね。チームメートも声をかけてくれましたし、サポーターのみなさんも数多くのメッセージを届けてくださいました。また、家族も毎日連絡をしてくれたので、自分1人で頑張っているという感覚はなかったですね」
─たくさんのエールの中で印象に残っているものはありますか?
「全てが支えになりましたが、一つあげるなら家族が毎日のように言ってくれた言葉です。周りからはポジティブな言葉をかけてもらうことが多かったのですが、家族だけは逆で『全然頑張らなくていいからね』と言ってくれていました。もちろん頑張ってという思いを込めての言葉だと思いますが、そのおかげで、ゆっくりと焦らずリハビリに取り組むことができました」
─今年は復活のシーズンとなります。どんな一年にしていきたいですか?
「まずはケガをせず、最後までシーズンを戦うことが目標です。また昨シーズンはチームに貢献できなかったので、今年はしっかり貢献するという気持ちを忘れずに頑張りたいと思っています」
─昨季はレギュラーとして始まるも、ケガをしたことで外からチームを見守る立場になりました。外から見たレジーナをどう感じておられましたか?
「昨季はチームができたばかりで、7勝をあげましたが簡単に勝てた試合はなかったはずです。その中でも、試合ごとにみんなが成長していく姿が手にとるように分かりましたし、勝てない時期が続いたときも自分たちのサッカーを続けることができていたと思います。最終的にはリーグ6位で、特に後半戦は日々の積み重ねが結果として現れた試合も多くあったので、チームとして1年目に得たものを、2年目の今季に活かしていく必要があると思っています」
─増矢選手自身、サポーターのみなさんにどんなプレーを届けていきたいですか?
「スタジアムに足を運んでくださるサポーターのみなさんに “レジーナのサッカーを見にきて良かった” と思ってもらえるような試合をしたいですね。選手として一生懸命な姿を見せるのはもちろん、見ていて楽しんでもらえるようなプレーができるようにすることは常に心がけています」
《プロフィール》
増矢 理花●ますや りか
1995年9月14日生、徳島県出身
160cm・53kg/MF
JFAアカデミー福島ーINAC神戸レオネッサーサンフレッチェ広島レジーナ(2021〜)
日本女子代表経験(2014〜2019)もある、攻守にわたりレジーナの中盤を支えるMF。昨季のリーグ開幕戦では1ゴール2アシストの活躍で、記念すべき初勝利を手繰り寄せた。ケガから復帰した今季は副キャプテンに就任。チームとして目標に掲げるリーグ3位以内達成に向けてレジーナをけん引する。