内野の要としてチームを支える遊撃手。広い範囲をカバーし、 難しい打球をものともせず、華麗にグラブをさばくその姿は、 野手の花形ともいわれている。
カープの歴代遊撃手にも、ゴールデングラブ、盗塁王、ベストナイン受賞選手など錚々たる面々が名を連ねる。本企画では、なつかしのあの選手から三連覇の立役者まで、 広島のショートを守った男たちの活躍を振り返る。
今回は、現在のカープを支えるあのコーチから、三連覇の代名詞となったあの現役選手までを紹介する。
◆梵英心との二遊間で躍動。二塁手としてベストナイン二度受賞/東出輝裕
福井の名門校・敦賀気比から1998年ドラフト1位でカープ入団。高卒1年目ながら一軍登録されると、主にセカンドとして出場機会を得た。
2000年からはショートにコンバートされ、セカンドの木村拓也とともに1・2番として活躍した。2002年にはエディ・ディアスとの二遊間を形成。一時出場機会が減少したものの、2006年からはセカンドに転向。同学年である梵英心と二遊間を組むと、リーグトップの277刺殺、421捕殺を記録した。2008年、2009年にはセカンドとして2年連続ベストナインを受賞した。
2013年には前十字靭帯の断裂、半月板の損傷など度重なるケガに見舞われ、翌年から選手兼任コーチに就任した。現役引退後は長年コーチを務めている。
◆異色の助っ人センターラインを形成した元メジャーリーガー/A・シーツ
マリナーズ、エンゼルスなどを渡り歩き、2003年に来日した助っ人外国人選手。
遊撃手としてMLBの複数チームで活躍し、守備力を期待され山本浩二監督時代のカープに入団。堅実な守備を武器に遊撃手としてスタメン出場を重ね、一時はグレッグ・ラロッカと外国人二遊間コンビを組みカープのセンターラインを担った。
一方、打撃面でもチームに大きく貢献。2003年には25本塁打、打率.313、2004年も23本塁打、打率.284を記録するなど勝負強い打撃で4番打者も務めた。2005年に阪神移籍後も攻守に活躍を続け、2006年には打率.310の好成績を残した。
◆ケガを乗り越え涙のサヨナラ弾。現在はスカウトとして活躍中/尾形佳紀
アマチュア球界のエリートコースを歩み、即戦力内野手として2000年にカープに入団。
1年目から一軍53試合に出場しユーティリティプレーヤーとして活躍するが、シーツの阪神移籍後は「1番・ショート」として出場機会が増加。打率も3割を超えるなど好調を維持していたものの、前十字靭帯断裂などの故障が相次ぎ、戦線離脱を余儀なくされる。
2年ぶりの復帰となった2007年、代打起用された巨人戦(8月24日)で自身初のサヨナラ本塁打を放った。試合後のお立ち台では涙を流し、「最後の一押しは(ファンの)みなさんのおかげで(打球が)スタンドに入ることができました」と感謝を口にした。
現役引退後はスカウトに転身し、鈴木誠也、田中広輔、森下暢仁らを担当した。