◆新たにエルドレッドが加入

 その中で特に難しいのは選手に二軍行きを伝えるときである。誰もが試合に出たいと思っているのに、それを叶えることはできない。たとえ調子が良い選手でも、対戦相手やチーム事情によっては二軍に行ってもらわなければならないときもある。最終的にそれを判断するのは監督であり、だからこそそれは自分の口で伝えなければいけないと思っていた。それが監督の仕事だと思っていた。

 直接話すことで、こちらの真意を理解してくれる選手もいる。もちろん納得されない場合も何度かあったし、興奮した外国人選手から口汚い言葉を吐きかけられたこともあった。それでも二軍行きを伝えることは、就任当初から自分の大事な仕事として5年間ずっと続けてきた。

 結局、その後サファテは調子を崩し、5月20日の日本ハム戦、25日のオリックス戦、27日のロッテ戦と3試合連続で救援に失敗。再調整のため一軍を離れることになった。新ストッパーにはミコライオを抜擢するが、一度確立した“勝利の方程式”が崩れたダメージは大きく、チームは6月末の時点で5位と低空飛行が続くことになった。

 この年に入団した新外国人選手ニック(スタビノア)がシーズンが始まってすぐにケガをして登録抹消になってしまったため、6月にエルドレッドが加入した。エルドレッドに関しては最初からピンときていたわけではないが、彼の一発を打てる力は魅力的だった。

 特にチームは相変わらず得点力不足に苦しんでいた。たとえ3打席三振してもランナーがいるときに一発打ってくれればいいという気持ちで使っていた。彼の性格はとにかく真面目。手を抜くことができない選手。「足が痛いなら無理をするなよ」と伝えても、ファールボールが飛んできたら全力で追いかけてしまう。

 その向こう見ずな性格が2013年のCSの阪神戦、甲子園での大ファインプレーに繫がったところもある。普段の生活では能天気なところもあるが、一度グラウンドに入るとケガのことなど考えずプレーに没頭してしまうのだ。