新井貴浩監督の就任会見から約2カ月が経った。宮崎での秋季キャンプも始まり、来シーズンへの期待はますます高まるばかりだ。広島アスリートマガジンでは、これまで、現役時代〜引退後にかけて新井監督の声をファンへ届ける独占インタビューを掲載してきた。ここでは、2019年1月号『永久保存版 新井貴浩』より、インタビューの一部を再編集して掲載する。

 4番として2年連続で100打点を達成しながらも、チームは5位に沈んだ2007年。 ひたすらにチームの勝利を願いバットを振り続けたが、その思いは結果につながらなかった。 シーズン終盤に行われたインタビューでは、悔しさを滲ませながら総括を行った。

30歳を迎えていた新井貴浩。チームリーダーとしてその肩にかかる期待も大きかった。

◆長い1年だった

─間もなく2007年のシーズンが終わります。新井選手にとって今シーズンは長かったですか、それとも短かったですか。  

「長かったですね。こんなに長く感じたことは今までありません」

─これまでの8年間と、今年の1年では何が違うのでしょうか。

「やっぱり選手会長になったということで、周りのことを考えなければいけなくなりました。とにかくいろいろ考えることが増えましたね。それがこの1年を長く感じた理由の1つだと思います」

─それはご自身のプレー以外のところで、気配りみたいなものが増えたと。

「そういうのもありました。もちろん自分のプレーに関しても、今まで以上にしっかりとしなければいけないという思いがありました。序盤の頃とか順位が決まるまでは、自分が打てなくて負けたということで、今まで以上に考え込んだこともあります。とにかく、色んな意味で考え込むことが多かった1年でもありました」

─カープの中で野手陣のリーダーは新井選手だと思います。そういう自覚は、シーズンが始まる前からあったんですか。

「昨年もそういう気持ちはありましたね。でも今年は新しく選手会長という肩書きが付いたので、昨年以上にそういうことを感じるようになりました」

─重く感じましたか。

「重いと言うか、大変ですよ。でも僕の中では幸せなことだと思っています。選手会長とかチームリーダーとか、そういうふうに言ってもらえるのはチームで一人しかいませんからね。だから、幸せだと思ってやってきました」

─チームに目を移せば、今シーズンはとても苦しい1年となってしまいました。選手会長の新井選手から見た、今シーズンのチームはどのようなものでしたか。

「一言で言うと、『こんなはずじゃなかった』と。やっぱりキャンプなどを経てシーズンが始まるとき、クライマックスシリーズが導入されたということもありましたが、8、9月に熱い戦いをしようと誓ってスタートした訳です。でもそれができなかった。そういった意味では、この時期に5位とか6位にいるのは、みんなも『こんなはずじゃなかった』と思っていると思います。でも、やっぱり冷静になって客観的に考えてみると、なるべくしてこういう結果になったのかなと思います。じゃあ何が足りないのかというと、練習するしかないんですよ」