2014年、ドラフト1位で指名を受け、現役当時の新井貴浩監督のカープ復帰と時を同じくして入団した野間峻祥。2015年から新井監督が引退するまでの4年間、ベンチ内外で見せた2人のやりとりは、ファンとメディアの注目を集めてきた。

 2023年は“監督と選手”という関係で始まる新たなシーズンとなる。ここでは現在の心境を語った、野間の独占インタビューをお届けする。

2023年シーズンでプロ9年目を迎える野間峻祥。

今まで通りの関係ではダメ。メリハリをつけつつ、監督を支えたい

─野間選手が感じる、新井監督の人間性についてお聞きします。選手時代から接してこられる中で、どのような人間性の方だと思われますか?

「メリハリというか切り替えというか、そういう部分がきっちりされている方だと感じています。厳しいところは厳しく、そうしたオンとオフの切り替えがしっかりされていると思いました」

─リーダーシップも感じていましたか?

「そうですね。監督が現役時代、試合中でも、いていただくのといないでは雰囲気も変わりました。新井監督がドシっといてくれるだけで、周りもやりやすいというか、安心してプレーできる部分があったと思います」

─来季以降は選手と監督という関係に変わります。野間選手にとって、新井監督はどのような存在ですか?

「選手と監督になりますし、今までと同じ関係性ではダメだと思います。一戦を引いてやらなければならないところはあると思いますが、そこのメリハリをしっかりつけてやっていかなければいけないなと思っています」

─野間選手は今年FA権を取得され、その去就にも注目が集まりました。やはり、新井監督の就任は残留の大きなひとつのきっかけになりましたか?

「それはもちろんあります。新井監督からも、シンプルに、『俺は一緒にやりたい気持ちがあるから』と言ってもらいましたし、『何かあったら相談にも乗るよ』という感じでも声をかけていただきました。そのように声をかけていただけたというのは、すごくありがたかったです」

─今シーズンの振り返りについてお伺いします。キャンプ直前にはコロナの濃厚接触者になるなど、出だしはあまり思わしくなかったかと思います。しかし、シーズンを終え、85試合に出場し317打数99安打16打点、打率は.312という成績を残されました。また、野手キャプテンとしても責任のある立場となった1年だったと思いますが、振り返ってどのようなシーズンだったでしょうか。

「個人としては、8月には新型コロナでチームを離れた時期もあり、二軍に行っていた時期もあり……と、いろいろあった1年間でした。野手キャプテンを任せてもらいながら、1年間一軍に帯同できなかったという部分に関しては、『情けない』という気持ちのほうが強いですね」

─野手キャプテンを経験して得たものもあったのではないでしょうか?

「若い選手も増えてきて、自分のことだけでなく周りも見ながらプレーしなければならない中で、そうした視野が少し広がったシーズンだったのではないかと思っています。プレー一つにしても、今までであれば、打席で凡退すると守備の時に少し気持ちに影響が出ることもあったのですが、今年はそうしたことは一切なく、守備は守備、打撃は打撃として取り組まないと後輩の前でも示しがつかないという思いがあったので、その点は意識をしながらプレーするようになりました。そういう面では、収穫もあった1年でした」

─来シーズンはプロ9年目、新井カープ1年目のシーズンとなります。どのような気持ちで臨みたいと思いますか?

「ここ4年間はずっとBクラスで終わっていますし、なんとか『新井さんを男にしたい』という、今はその気持ちだけですね。新井さんとは現役の頃からいろいろありましたし、3連覇を経験した選手は、新井さんに良くしてもらっていると思います。みんなもそういう気持ちでいるはずなので、僕自身も、新井監督とチームのために、来シーズン1年間頑張りたいと思います」

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