2022年シーズン、ついに悲願のカップ戦タイトルを手にしたサンフレッチェ広島。チームの躍進の裏には、急成長を見せた若い選手と豊富なキャリアを持つベテラン選手の相乗効果があった。

 ここでは広島9年目を迎え、ピッチの内外でチームを支えるMFが、今シーズン、そしてこれからの広島への思いを語る。

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ここまで進出したカップ戦決勝では、すべて準優勝に終わっていたサンフレッチェ広島。ルヴァン杯優勝で、その歴史は大きく動いた。

◆真剣勝負だからこそ、必然とあふれた歓喜の涙

ークラブに初のカップ戦タイトルをもたらしたルヴァン杯についてお伺いしていきます。柏選手は1点を追いかける展開の中、80分に野津田岳人選手と交代で出場されました。相手のマテイ・ヨニッチ選手が退場したタイミングでもありましたが、どのような役割を期待されての交代だと捉えていましたか?

「あの試合は負けている状況だったので、誰が入っても勝つために投入されているわけです。自分の良さはチームを落ち着かせることができるところや、攻撃にアクセントを加えられるところだと思っていますが、それはスタメンで出場しても、途中出場であっても求められる役割としては同じだと思っています。勝つために投入されているので、ゲームプランとしては明らかですよね」

ー試合終了後、佐々木翔選手と涙を流して抱き合っている姿が印象的でした。柏選手があのように涙を見せるのは、珍しいのではないかと感じましたが。

「それは違いますね。笑う時は笑いますし、泣く時は泣きますし、僕は感情豊かな人間ですから。やっぱり、熱いからこそ泣くと思いますし、賭けているものがあるからこそ、勝った時にはしっかり感情が爆発すると思っています。タイトルを取りたいという思いはどの選手も持っていますが、広島在籍9年目で僕自身も強い思いを持っていたので、涙は必然に出てきました。チームとして、やることをすべてやって頑張ってきていたので、一緒に喜べて涙も流せたのかなと思っています」

ー天皇杯、ルヴァン杯ともに、若い選手の活躍が目立ちました。先程、在籍9年目という言葉もありましたが、今シーズンの若手選手の台頭を、柏選手はどのようにご覧になりましたか?

「若い選手が出てきて活躍していることはもちろんですが、躍進のベースにあるのはスキッベ監督のマネジメントであったり、日々の練習で選手が力をつけてきたところにあると思います。本当に、みんな自信を持って、どの若い選手も伸び伸びとプレーできています。ベテランと言われる選手たちも負けじと、『まだまだできるんだぞ』というところを示していますし、僕自身も若い選手が頑張っている中で、負けたくない気持ちを持ちながらやってきた1年間でした。若い選手が伸びていることにフォーカスされがちではありますが、僕としては、キャリアを重ねた選手たちも、チームとして一緒になって成長できているかなと思っています」

ー今シーズンの柏選手ご自身についてお伺いします。ここまでを振り返って、ご自身でどのように自己評価をされていますか。

「自分としては、個人の数字やパフォーマンスというよりも、チームがどういう状況に行くかというところを重視しています。若い頃は違いましたが、年齢を重ねるごとに、そちらにフォーカスするようになりました。そういう意味では、自分が出た試合では負けていないと思いますし、8月以降には連勝を重ねることもできました。常にチームが上に行くために考えながらやってきたので、それが成果につながり、カップ戦、リーグ戦を含めて上位にいることができたというところは良かったのではないかと思います」

ー最後に、サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。

「コロナ禍で制限がある中ではありますが、スタジアムにサポーターの声援が戻ってきたことはとてもうれしく思います。そんな中で、2つのカップ戦決勝に行けたということ、数多くのサポーターが横浜と国立に来てくれて一緒に戦ってくれたことで、改めて、広島のポテンシャルを感じることができました。サンフレッチェというクラブはもっと上に行けると思いましたし、そのためにはサポーターなくしては成り立たないとも思っています。もっともっとサンフレッチェを愛してほしいと思いますし、チームがもっと強くなるためには、サポーターやお客さんをもっと入れていかなければいけないとも思います。2024年には新スタジアムも完成する予定です。チームとしては、みなさんを魅了するようなサッカーをして広島の街を盛り上げていきたいと思っていますし、僕自身も長くサンフレッチェでプレーできるように、一緒に戦いたいと思っています」

■柏 好文(かしわ・よしふみ)
1987年7月28日生、35歳/山梨県出身/168cm・62kg/MF
国士舘大−甲府−広島(2014〜)韮崎高から国士舘大を経て、2010年に甲府(当時J2)加入。2012年には41試合に出場し、甲府のJ1再昇格を支えた。2014年に広島に完全移籍。WBのレギュラーとして定着すると、2015年の広島のJ1優勝にも大きく貢献した。

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