J1リーグ戦3位、天皇杯準優勝、ルヴァン杯優勝。クラブ史に残る大飛躍を見せた2022年のサンフレッチェ広島。

 ここでは、広島とサンフレッチェを愛するOB吉田安孝氏と森﨑浩司アンバサダーが、今シーズンの快進撃を振り返りながら、注目選手をたっぷり語り尽くす!

2022年シーズン、2人が注目した選手として名前をあげた野津田岳人。

新監督の戦術とマネジメントが伝統的な〝広島スタイル〟とマッチ

ーではここからは、2022年サンフレッチェの話題に触れていこうと思います。今シーズンは、初のドイツ人監督であるミヒャエル・スキッベ監督が就任されました。ただ、シーズン序盤は新型コロナウイルスの渡航制限もありチームに合流することができず、指揮官不在のまま開幕を迎えるという事態にもなりました。ファン・サポーターからも不安視する声がありましたが、その点も踏まえて、シーズンを総括していかがでしたでしょうか。

吉田「これ以上ない結果だったと思います。悪い点を挙げるところがまったくないですよ。そのくらい素晴らしいシーズンでした。新監督の合流は遅れてスタートしましたが、迫井深也ヘッドコーチをはじめとした首脳陣がしっかりとした準備を進めていた。そのあたりも含めて、すごく良いシーズンだったんじゃないでしょうか。若手もベテランもしっかり使って、『上位に行くこと』と『育成』の両方を見事に成功させてチーム一丸となって戦ったところが、スキッベ監督の素晴らしさだと思いますね」

森﨑「僕も同じ意見ですね。思った以上の結果が出たというのが正直な感想で、驚きもありましたが、監督が合流してからのサッカーは、見ていても本当に楽しませてもらいました。結果はもちろん、内容もすごく良い成果を得ることができた1年だったのではないかと思います」

吉田「積極的なサッカーができるようになったけど、勝ち点に結びつかない……というパターンはありがちな話なんだけど、スキッベ監督が来てからは得点力も上がって、内容的にも良いサッカーになったというところがすごいよね」

森﨑「特にカップ戦ですよね。天皇杯、ルヴァン杯の両方で決勝ラウンドまで行ったのは、クラブ史上初ですから」

吉田「リーグ戦でもカップ戦でも、選手をあまり入れ替えることなく戦っていたじゃない? スキッベ監督が求めるスタイルのサッカーを続けていると、特に夏場は選手が疲弊するんじゃないかなとも思っていたんだよね。でも蓋を開けてみると、その夏場に勝ち点を積み上げた。あれにはびっくりしたね。しかもスキッベ監督は、休みの日をしっかり入れるタイプだったじゃない」

森﨑「選手としては怖いですよね。連戦中にリカバリーがないというのは、今までにないタイプの指導者だったんじゃないかと思います。通常、連戦中でも試合翌日はみんなで集まって軽く体を動かして……というリカバリートレーニングの日を入れるものなんですが、完全に1日オフにしたり、思い切ったことをされていました。選手としても、オンとオフのメリハリがついたのが、結果としては良かったんでしょうね」

吉田「サンフレッチェの選手は1人ひとりがマジメじゃない? そういう選手たちだからこそ、スキッベ監督の『明日は休みだ』というスタイルがうまくいったんじゃないかと思うんだよね」

森﨑「そうですよね。休みになったとしても、個々では自分でケアをするといったマジメな選手が多いので、そういったところもスキッベ監督のやり方にマッチしたんじゃないかと思いますね」

吉田「監督の起こした変化が良い方向に働いて、結果も出たシーズンだったね」