1月6日、野球日本代表・栗山英樹監督は、3月に開催されるWBC2023東京プール出場メンバーのうち、12選手を先行発表した。本大会では、大谷翔平、ダルビッシュ有らメジャーに所属する選手も複数選出。現在カブスでプレーしている鈴木誠也もその中に名を連ねた。

 ここでは、カープ時代に収録された鈴木のインタビューを再編集して掲載する。リーグ4連覇を目指して戦った2019年、ケガに苦しみながらも、カープの、そして“日本の4番”として活躍していた鈴木の声をお届けする。

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初の打撃タイトルを獲得した2019年。背番号に恥じぬ成績を残してみせた鈴木誠也

◆背番号『1』を背負い戦ったシーズン。鈴木に芽生えたチームリーダーとしての自覚

 2019年シーズン、鈴木を取り巻く状況が一変した。精神的支柱だった新井貴浩が現役を引退し、強力クリーンアップを形成した丸佳浩が巨人に移籍。リーグ4連覇を目指す一方で、少なからず打撃力の低下を危惧する声も囁かれ始めていた。

 ただ、そんな状況下でも鈴木は己のスキルアップに没頭した。キャンプ前には2年ぶりに内川聖一(元・ソフトバンク)らと自主トレを行い、早い段階から強度の高いメニューを消化。球界を代表する選手に成長してもなお、練習に対する意識の高さは入団当初とまったく変わっていない。

「まず自分の体がちゃんと整っていないと良いプレーができないと思っています。トレーニングを行う前に食事を変えないと体の中身自体も変わってこないですし、それが体にも出てこないので、摂るものをある程度気をつけています。そうやって食事にも気をつけた上でトレーニングをしっかりして、土台をつくって練習をやらないと技術もついてこないと思っています。シーズンオフは期間が短いので、トレーニングをやれる時間も少なくなってきます。なので、オフだけじゃなくて、シーズン中もしっかりやっていかなければいけないと思っています。特に昨年12月は、ほぼバットを振らないくらいでトレーニングに励んでいました」

 自身もプロ7年目のシーズンを迎えるにあたり、周りの選手に対する意識も少しずつ変化していった。中でも後輩選手たちに対しては特別な感情も芽生えてきた。「大丈夫かな?」。悩みを抱えている選手を見かけたときは、自然とアドバイスを行うようになっていた。

「僕もそんなことを言ってる場合じゃないんですけど、僕よりも年下の選手がなかなか出てきていないので気になりますね。僕が一軍に出始めたのが20、21歳くらいでしたが、今で言うと坂倉(将吾)だったり、二軍で頑張っている選手もそうですけど、もう少し出てこないといけないのかなと思っています。僕も一軍に出始めた頃、今の後輩選手と同じように悩むことがありました。悩んでいることがあれば、僕の場合はどうやって解決したのかを伝えられると思います。いろんな引き出しというのは、人よりも考えてきたつもりだったので、そういうことを、ちょっとずつ伝えるようにしています」

 新たに背番号1を背負うことになり、自然とチームリーダーとしての自覚も芽生え始めた。4番打者としてもシーズン3年目。自ずと責任感も増していった。

 このシーズン、チームとしての成績は残せなかったものの、鈴木個人としては初の打撃タイトル(首位打者、最高出塁率)を獲得。試行錯誤を繰り返す中で、いつしか鈴木はカープの4番から日本の4番へと成長を遂げていた。

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