カープ時代は投手3冠、沢村賞に2度輝くなど、カープのエースとして活躍した前田健太。2016年からはメジャーリーグに活躍の舞台を移し、世界で挑戦する日々を送っている。

 日本球界、カープを離れて早7年。カープから世界に羽ばたいた“マエケン”は今、プロのキャリアをスタートさせたカープ、広島に対してどんな思いを抱いているのか? ここでは、かつてのエースの思いに迫った。

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球団施設で報道陣に向けてポーズを撮る、広島時代の前田健太。

◆エースの9年間を支えたのは、広島中から届くカープへの愛と大きな声援

─カープにいたからこそ、前田投手が学べたことなどはありますか?

「街の人に期待してもらって、応援してもらって、期待に応えなきゃと思って頑張ることができたので、それはすごく力に変えることができました。僕がいた時代は勝てない時期もありましたが、それもすごく僕の力になりました。その中で勝っていくにつれて、多くのファンの方々に応援に来ていただけました。3連覇という経験はできませんでしたが、そこに至るまでの過程を、9年間戦いながら感じることができたと思います。旧広島市民球場からマツダスタジアムに変わって、ファンの方が増えていく時期を経験できたので、自分自身楽しかったですね。あと、なんとか全国の人に名前を知ってもらえるようなチームになりたいと僕自身は思っていたので、今は全国にカープファンがたくさんいて、カープの選手もどんどん名前が知られていると思うので、それはすごくいいことだと思います」

─現役のメジャーリーガーとしてプレーする前田投手にとって、現時点でカープ時代はどんな期間だったと言えますか?

「僕の野球人生のほぼ全てはカープのおかげだと思っています。アメリカに行って初めての経験はたくさんありましたけど、基本的にはカープで全て学んだことなので。アメリカでのプレーは初めてなわけで、基本的にはカープで学んだことを今アメリカでやっていますし、あとはアメリカで少しずつ、毎年毎年学んだことをプラスにしていますが、カープで学んだこと、カープの時に築き上げたものを土台にアメリカで戦っています。カープ時代は若手時代から一軍でたくさん投げさせてもらって、良いことも悪いことも、たくさん負けたこともありましたし、苦しい中で勝ったことも全て自分の土台になっています。本当に自分で言うのもなんですけど、精神面であったり、体の強さであったりというものは、カープ時代に全て培ったものなので、僕の土台になっていますね」

─来シーズンメジャー8年目となります。2023年シーズンの目標と意気込みを聞かせてください。

「手術明けなので、まずは元の姿よりもパワーアップした姿をファンのみなさんに届けたいなという思いがあります。そして1年間ローテーションを守りながら、またメジャーの舞台で、しっかり投げきるというのが目標ですね。あとはトミージョン手術に対して、日本のみなさんに良いイメージを持っていただけるような姿でメジャーに戻りたいなと思います」

─最後に広島、カープファンのみなさまに向けてメッセージをお願いします。

「本当に今でもカープファンの方だったり、広島県の方からSNSを通じてメッセージをもらっていて、すごく励みになっていますし、力になっています。僕は広島で学んだことをアメリカで活かしながら頑張っているので、みなさんに良い姿をまたお見せできるように2023年も頑張っていきたいなと思います。メジャー移籍が決まって広島を離れる時に、カフェのお店の店員さんが泣いて寂しがってくれたことがありました。そういう時に、『あ、俺はすごいところにいたんだな』、『こんなにも思ってくれてたんだな』っていうのをすごく感じて、寂しかったんです。離れなければ、別に泣かれることもないし、頑張ってくださいだけじゃないですか。でもそうやって面識のない方も涙を流してくれるというのは、すごい悲しいし、寂しいし、こんなに応援してくれてたんだと思いましたね。そういう方々に向けても、僕が頑張っている姿を見せたいなと思います」

広島アスリートマガジン2月号は、本誌初登場!秋山翔吾 2023年の覚悟』。さまざまな角度から秋山選手の“覚悟”に迫りました。2015年以来の登場となる、前田健太選手インタビューにもご注目ください!