その左足から繰り出されるコーナーキック。相手GKに襲いかかる、強烈なミドルシュート。レジェンドの引退セレモニーで決めたゴールでは、高く掲げた11のハンドサインがエディオンスタジアムに集まった多くのサポーターの胸を打った。

 広島を愛し、広島のために力を蓄え、広島のために戻ってきた背番号『7』。

 今や広島に欠かせない“心臓”となった野津田岳人が、新シーズンへの思いを語る。

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広島復帰2年目を迎える今シーズン、ますますチームの中心として期待がかかる野津田岳人。

◆刺激になったE-1選手権、カタールW杯。森保監督のもとで再び戦った大舞台を振り返って

ー昨シーズンを振り返ると、E-1選手権でA代表に選出されました。森保一監督と共に、世界を相手に戦った印象はいかがでしたか。

「初めてのA代表ということで、やっとここに来れたなという気持ちと、A代表に入れたんだというワクワクした気持ちが入り混じったなかでの活動になりました。それと同時に、ポイチさん(森保監督)が代表監督をされているときにA代表に入れた喜びもありました。ただ、僕個人としては悔しい思いが強い選手権だったというのが正直なところです。まだまだ自分の力が足りていないと感じたので、そういう意味では、思っていた以上の刺激を得ることができた場所でもありました。本当に行けて良かったなと思いましたし、よりもっと高いところを目指そうと思うことができましたし、またあの場に行きたいとも思いました。そのためにも、もっともっと自分自身が成長しなければならないと感じることができたので、すごく自分にとって有意義な時間と場所だったと思っています」

ー野津田選手にとって、森保監督とはどのような存在でしょうか。

「そうですね……。小学校の頃からずっと見てくれていたというか、実際に教えてもらってもいましたし、小さい頃からの先輩のお父さんということもあって、家に遊びに行ったりもしていたんです。僕が初めてプロになった時の監督がポイチさんだったということもあって、どちらかというと『最初の監督』というイメージのほうが強いですね。自分を育ててくださった監督という思いが一番です」

ーカタールW杯では、同期でもある浅野拓磨選手の活躍もありました。

「カタールW杯は、とにかく刺激しかない大会でした。監督も含め、広島でいっしょにプレーしていた選手が活躍しているところを見ると、純粋に『自分もあの舞台に立ちたい』と思いましたし、立つためにはどうすれば良いのかということも考えました。僕自身もレベルアップしなければならないと感じましたし、自分も世界と戦いたいという思いは、いっそう強くなりましたね」

ー今シーズンは、チームへのマークも野津田選手自身へのマークも厳しくなることが考えられます。難しい戦いも増えると思いますが、意気込みを聞かせてください。

「今シーズンは、より良いサッカーをつくり上げ、チームが目指すサッカーの完成度を高めていきたいと思っています。もっともっと強いチーム、見ていて楽しいと思えるサッカーを表現したいですし、それができれば必ず昨年以上の成績がついてくるはずなので、観客を魅了するようなサッカーをして、なおかつタイトルも狙っていきたいです。僕自身も、昨年以上に貢献してチームを勝たせることができる選手になりたいと思っています。もっともっと広島で活躍する姿を見せられるように頑張るので、応援よろしくお願いします」

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