思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は「開幕先発投手」について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

◆143試合中の1試合だけれども・・・

 日本中を賑わせたWBCも終わり、いよいよシーズン開幕を迎える。開幕試合は単なる1試合と捉える向きもあるが、その年の最初の試合というのは、やはり特別な思いを抱いてしまうものだ。だからこそ多くの球団では、事前に開幕投手を発表するのだろう。

 カープも例外ではなく、新井貴浩新監督は早々に今シーズンの開幕投手を大瀬良大地に託すことを公表している。大瀬良にとっては5年連続の大役である。

 どの球団も、開幕投手はそのチームで一番いい投手、いわゆるエースが務めることが多い。カープの昨シーズンの成績だけで言えば、チームの勝ち頭は10勝の森下暢仁である。しかし大瀬良が指名されたということは、単なる成績以上の、精神的な統率役としての期待が示されているのだろうと思う。

 そうすると、これまでのカープの歴史の中で、誰が開幕投手を多く務めてきたのだろうかということが気になる。遡ってみると、最多は北別府学の9回(開幕試合に登板した、ということだけで見れば中継ぎ登板含めて11回なのだが、ここでは先発投手に限定したいと思う)。2位がカープ黎明期の大投手・長谷川良平の6回。3位が外木場義郎、黒田博樹、前田健太の5回であり、大瀬良は今回ここに並ぶわけである。

 余談ではあるが、次位の4回の開幕投手を務めた大野豊と佐々岡真司はともに、年によって先発に回ったり抑えを務めたりしていたので、先発に専念していれば開幕投手の回数はもっと増えたのではないかと予想される(開幕試合で大野は4回、佐々岡は2回中継ぎ登板している)。

 そして今後大瀬良に期待がかかるのが、「連続開幕投手」という記録だ。今回5年連続が達成された場合黒田と並び、もし来年もとなれば、長谷川の「6年連続開幕投手」という記録に並ぶ。この記録がどこまで続くのかも見守りたいものだ。

 冒頭にも述べたように、開幕試合とはシーズン143試合中の1試合なので、この勝敗がシーズンの成績に大きく関わる訳ではない。球団創設以来、昨年までのカープの開幕試合の勝敗は40勝30敗3分。割と高い勝率を誇るが、残念ながらそれがシーズンの順位に反映されていたとは言えなかった。開幕6連勝して勢いに乗りながら、最終的には最下位に終わった1993年みたいな例もあるし、逆に3連覇を果たした2016~2018年の開幕試合は、1勝2敗の成績である。それでもシーズン最初の試合に勝つと、何となく「幸先が良い」と思ってしまうのがファン心理だ。

 当然のことながら、相手チームも一番いい投手を開幕試合にぶつけてくる訳で、簡単に勝てるわけではないだろう。それでも勝利を期待して、開幕を待ちたいと思う。

開幕先発投手ランキング (イラスト・オギリマサホ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。