アディショナルタイムに2ゴールをあげ3位を確定させたACLE、息詰まるPKを制した3度目の中国ダービー、そして劇的ゴールで勝点3をもぎとったC大阪戦。今シーズンも見応え十分の試合が続いているサンフレッチェ広島。新加入選手の存在が良い相乗効果を生み、サンフレッチェの新たな強みとなりつつある。クラブOB・吉田安孝氏が、5戦無敗のサンフレッチェを独自の目線で解説する!(全3回/第1回)

長崎戦で広島加入後初ゴールをあげた鈴木章斗

◆サンフレッチェの新たな核となっているストライカー

 開幕からここまで公式戦無敗を続けているサンフレッチェ広島。2月22日のC大阪戦(ヨドコウ、◯2−1)の劇的勝利に興奮したファン・サポーターも多いのではないでしょうか。

 今シーズンは監督が代わり、昨シーズンまでに築き上げてきた強みに加え、ゴールにつながる道筋にバリエーションが出てきました。これまでの強みであったボールをつないで崩していくというスタイルや1対1の強さは維持しつつ、自分たちで最終ラインからボールを保持してつなげるサイドアタック、中央からの崩しなど、攻撃の選択肢が増えている印象を受けます。

 そして、今季ここまで、それらすべての核になっている選手が鈴木章斗です。

 広島デビューとなった長崎戦では(2月6日、ピースタ、◯3−1)GK・大迫敬介のロングフィードから見事なシュートを決めました。あのシーンも、鈴木がボールを受けた時点で中には加藤陸次樹が入ってきていましたが、そちらへのパスを匂わせながらも最後は自分で仕上げるという駆け引きが見事でした。ああした冷静さも、鈴木の強みのひとつだと感じるシーンでした。

 そうやって自分自身でゴールを奪うことができる、ストライカーとしての資質はもちろん、彼の素晴らしさは周りを活かすこともできるプレーです。特に、鈴木とジャーメイン良のコンビの相性は抜群です。どちらもゴールを奪うことができますし、ラストパサーとしても起点になれるのは大きいですね。そのふたりの相乗効果で、攻撃陣全体が非常に良くなっているのを感じます。

 新加入選手では、松本泰志が事前の期待通りの働きをしてくれています。川辺駿とのダブルボランチもバランスが良いですし、レンタルバックの選手では、小原基樹が持ち味のドリブルを武器に攻撃のアクセントになっていますね。これまでなかなか出場機会を得ることができなかった選手たちが、新体制でそれぞれの持ち味を発揮しているのは非常に良いことだと思います。

(第2回へ続く)

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。