思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は5月17日に支配下登録され、注目を集める中村貴浩などがつけた「背番号3桁」について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

◆一際目立つ背番号「123」

 5月19日、甲子園球場での阪神戦。一際目立つユニホーム姿の選手がいた。背番号「123」、中村貴浩である。

 その2日前に支配下契約を結んだばかりの中村は、本来ならば背番号「97」になっているはずなのだが、急遽一軍登録されたためにユニホームが間に合わず、育成選手時代の123番を付けての出場となったわけだ。

 もっとも、そうした例は珍しいことではない。今シーズンだけでも、三上朋也(巨人)が「053」、丸山翔大(ヤクルト)が「017」など、育成時代の背番号を付けて一軍の試合に出場している。

 今でこそ育成選手の番号として見慣れてきた3ケタの背番号だが、やはり1ケタ、2ケタ背番号ばかりの一軍の選手に交じると、何とも言えない存在感がある。初めて3ケタ背番号を見た時には、その数字のギュウギュウぶりに驚いた覚えがあるが、果たしてそれはいつのことだっただろうか。

 遡れば、カープで初めて3ケタ背番号が登場したのが1992年。前年限りで引退し、ブルペン捕手となった水本勝己(現・オリックスコーチ)が100番を、101番以降をドミニカ・カープアカデミーから来たバウチスター、ロドリゲスなどの選手が背負った。その中でも1995年に先発で15勝を挙げる活躍を見せたロビンソン・チェコの背番号「106」は、多くの人の記憶に残っている。その後のルール改正で、支配下選手が3ケタの背番号を付けることがなくなったため、チェコは唯一「正規の3ケタ背番号で一軍出場、活躍した選手」となるわけだ。

なお個人的には、背番号「111」を付けていたベースボール犬ミッキーも「3ケタ背番号で活躍した選手」に加えたいところではあるが、ここではひとまず置いておく。

 「3ケタ背番号」と言っても、その数字はさまざまだ。カープも含め多くの球団では100番台の番号が使用されている。2005年に育成選手制度が採用された当初、背番号が「100番以降」とされていたためだが、2010年に規約が「3桁の番号」と改正されたため、0番台(巨人、ヤクルト、DeNA、オリックス、楽天)や200番台(中日)の3ケタ背番号を用いている球団もある。今後カープで100番台以外の3ケタ背番号が導入されるのかどうか、注目していきたい。

 ところで中村だが、5月21日の試合には「97」のビジター用ユニホームで先発出場していた。「これで123番も見納めか……」と思っていたところ、23日からのマツダスタジアムでの中日戦には、また背番号「123」を付けて登場した。ホーム用ユニホームが間に合っていなかったようなのである。この23日にはプロ初のタイムリーを放ち、背番号「123」のままお立ち台にも上がった。

 この原稿が出る頃にはホームでも「97」を付けているだろうか。少し寂しいような気もするが、3ケタから2ケタ背番号になるのは出世の証でもある。今後も活躍を期待したい。

まもなく見納めとなるであろう背番号123番を背負う中村貴浩(イラスト・オギリマサホ)

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。