2005年に初めて導入され、19年目を迎える2023年のセ・パ交流戦。カープにとって鬼門とされるその戦いは、157勝218敗15分 勝率.419と大きな負け越し。これは12球団中11位の成績となっている。そこで改めてカープ交流戦を振り返るべく、カープOBの梵英心氏に自身の経験談を踏まえて「カープと交流戦」をテーマに語ってもらった。第1回目の今回は、セ・リーグとパ・リーグの野球の違いを聞いた(2020年の掲載記事を再編集)。
◆セ・パの野球における最大の違い
2000年代後半のカープを支えた選手の一人、梵英心氏。同氏がプロ入りを果たした2006年は交流戦が始まり2年目のシーズン。当時は約1カ月にわたり36試合が行われていただけに、リーグ順位を争う上で交流戦は今以上に大きな比重を占めていた。
梵氏はルーキーだった当時を「僕自身はまだパ・リーグの選手の情報をほとんど知らなかっただけに、探り探りの対戦だった」と回想する一方で、「チームとして多少の苦手意識はあったかもしれないけれど、周囲から言われているほどチームで圧倒されていた雰囲気はなかった」と当時の印象を振り返った。
プロ入り当初は単に対戦数、データの少なさが鬼門の理由と考えていた梵氏だったが、年々対戦を重ねていくなかで、セ・リーグとパ・リーグの野球の違いを感じる場面は出てきたようだ。
「セ・リーグは緻密な野球、そしてパ・リーグは『いけいけどんどん』という印象を受けました。具体的に説明すると、セ・リーグの投手は配球で打ち取り、パ・リーグはスピードボールなど力でねじ伏せてくるということです。打者で言えば、セ・リーグは一人ひとりが粘っこく、打順としての流れが意識されていて、パ・リーグは打者一人ひとりの能力で勝負してくるというイメージでしたね」
一概には言い切れない部分も当然あるとしながらも、梵氏は大所高所からの視点でセ・パの野球の違いを語ってくれた。
「パワーで押してくる投手が多いとなると、自然と『力負けしないように』ということを意識するようになります。しかし、今思えばその時点で立ち遅れていて、同じ土俵に立てていなかったのかもしれません」
現時点でセ・リーグはパ・リーグに交流戦の通算成績で大きく負け越しとなっており、単年で見るとセ・リーグが勝ち越したのは2009、2021、2022年のわずか3度。圧倒的な数字の理由の一つして、梵氏が語った点はセ・リーグが挽回を図る上で、重要なポイントなのかもしれない。