球宴を挟んで10連勝をマークし、一気に首位・阪神に接近した新井カープ。まさに「家族一丸」の戦いでセ・リーグを盛り上げている。ここでは、カープOBの笘篠賢治氏に、今後の戦いについて見解を語ってもらった。

開幕から「不動の3番」としてカープ打線を引っ張る秋山翔吾。

◆細かな変化で相手を揺さぶる

 交流戦後のカープが好調です。7月12日から27日まで球宴を挟んで10連勝と、7月29日現在で首位阪神とはゲーム差なしの2位。8月、9月は6連戦が続き、ここからが本当の勝負になってくることが予想されますが、優勝争いに絡んでいくうえで非常に良い位置につけています。

 開幕前、カープを下位予想をしていた解説者のみなさんから「(カープは)こんなに投打のバランスが良かったのか……」という声を聞きます。前半戦での結果が選手たちの自信につながり、後半戦もこのまま勢いに乗っていっていきたいところです。ただし、ここ数年はBクラスが続いていることを考えると、経験豊富な秋山翔吾や、3連覇を経験しているベテラン・中堅メンバーにチームをけん引してもらい、最後まで集中して戦い抜いてほしいです。

 7月28日から首位・阪神との3連戦を迎えていますが、夏場以降の攻防を考えると大事な戦いになるでしょう。私が注目するのは、左腕・大竹耕太郎投手の攻略です。ここまでカープは大竹投手と4試合対戦し、0勝3敗。大竹投手に勝ちがついていない試合も7回無失点と抑え込まれています。

 大竹投手はチェンジアップ、カットボール、スライダー、カーブと多彩な変化球を持ち、それらを両サイドに投げ込める高い制球力が武器です。制球が良いということは、打者目線からすれば『狙った場所に投げてくる確率が高くなる』ということです。カープとしては、大竹投手を攻略するために、何かを意識させたいところです。

 たとえばですが、右打者であれば『外角のチェンジアップを捨て、思い切って内角のストレートを引っ張りにいく』など、狙いを絞って攻めるのも良いのではないかと考えます。私が現役時代、山本昌(元中日)さんが、まさに大竹投手のようなタイプの投手でした。逆方向を狙っていても、引っ掛けてしまうので、あえてバッターボックスの前側に立ち、内角だけを狙うなど、試行錯誤したものです。

 大竹投手は7勝(7月29日現在)のうち、カープから3勝を挙げており、数字のみ見ればセ・リーグの中で最も得意とする相手チームとなっています。8月以降も対戦する機会があるでしょうし、大事な戦いが続く夏場を迎えるなかで、なんとか攻略しておきたいところです。

 今季のカープは随所で足を絡めた攻撃を効果的に発揮しています。さまざまな攻撃を仕掛けて、チーム一丸となって苦手投手を攻略してほしいものです。

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