V奪還を旗印に、カープ佐々岡真司新監督が激動のペナントレースを戦っている。

 新型コロナウイルスの影響で通常のシーズンとは大幅な軌道修正が必要となるなか、苦戦も予想された開幕からの遠征期間を5勝5敗1分の五分で乗り切った。今後も続く過密日程を迎えるにあたり、就任直後のロングインタビューの中から佐々岡監督の目指すビジョンを紐解いていく。
(2019年12月号掲載)

佐々岡監督は積極的に野手と投手の垣根を取り払っている。

 監督就任初となる秋季練習では野手投手混合でのノックを実施されました。その意図を教えてください。

 「基本的にコーチ陣に練習メニューを任せている中で、自分が就任したときに『投手と野手の一体感』という言葉を言わせてもらったこともあって、そういうメニューを組ませてもらいました。初日に関しては、シーズンを終えて約1週間程度休んでいて、休み明けということで軽い練習でスタートしてもらいました。そういう中で和気あいあいではないですが、投手と野手が一つになれると感じられたという意味でも、良い練習だったと思います」

 選手との接し方は監督となったことでコーチ時代と異なる部分はありますか?

 「基本はコーチ時代と変わらない形でいきたいと思っていますし、練習の合間合間で声をかけていきたいと思っています。野手に関しては投手コーチ時代は練習時間の違いもあってあまり話す機会がありませんでしたが、打撃練習の合間であるとか、話しかけていければと思っています」

 10月17日には監督として初のドラフト会議に臨まれました。森下暢仁投手(明治大)の1位指名を公言され、予想された競合もなく、単独指名となりました。改めてドラフトの感想を聞かせてください。

 「自分が思っていた通りというか、満点のドラフトでしたね。監督に就任して、ドラフトの打ち合わせをする際に森下君が投球する映像を見て、『森下君を1位指名したい』という話をさせてもらいました。僕の意思を汲んでもらって1位指名していただきましたが、まさか単独で1本釣りできるとは思いませんでした。当然、競合でくじを引くと思ってドラフトに臨みましたから、緊張しっぱなしでしたし、1位指名の最後だった西武の指名が終わるまでは気が抜けませんでしたよね」