サンフレッチェ広島ユースで育ち、愛媛での武者修行を経て2022年に帰還したMF・川村拓夢。2022年8月にJ1初ゴールをマークすると、ユース同期の満田誠、大迫敬介とともに、瞬く間にチームの中心となった。2023年には自身初のA代表にも選出され、2024年元旦に行われたタイとの国際親善試合では代表デビュー・代表初ゴールを決めている。

 新スタジアム元年となる今季、さらなる活躍に期待が集まる川村が、プロ1年目に語ったチームへの思いを再編集してお届けする。(インタビューは2022年9月に収録)

『2022Jリーグアウォーズ』ではベストゴールを受賞。その存在感は増すばかりだ。(2023年11月撮影)

◆試合を重ねるごとに、川村拓夢の魅力が爆発!

―2022シーズンは9月時点ですでに5得点。9月3日の清水戦では、レッドカードでひとり退場者を出しながらも、交代で入った川村選手が2得点をあげチームを勝利に導きました。超ロングシュートも話題となりましたね。

「ドウグラス・ヴィエイラ選手からのパスを受けた時、前と横に相手選手もいなくて、ゴールを見たらそこも空いていたので、『誰もいないじゃん』と思ってシュートを打ちました。ユースの時も同じようなゴールを決めているし、自分としては大したゴールではないと思っています」

―SNSでゴールシーンの動画が切り取られるなど、注目を集めましたが。

「ありがたい気持ちもありますが、僕自身は、1得点目の方がいいゴールだったと思っています」

―1得点目は柏好文選手からのボールでしたね。

「自分がポケットに入ったときにボールを持っているのが柏選手だったので、絶対にパスを出してくるだろうと思いました。相手GKは見えていなかったのですが、自分を信じて感覚で打ちました。試合終盤は頭も体も疲れているので、相手にも隙が生まれやすい。その隙を見逃さずに決められているのが、今の結果につながっているのだと思います」

―9月21日のルヴァンカップ・福岡戦(○2ー3)でも2得点を決めました。

「荒木隼人選手がヘディングした時に、『このスペースにボールが落ちてきそうだな』という自分の嗅覚を信じて走ったんです。相手選手が空振って、GKがパンチングしようとしていましたが、自分の方が出だしが早かったのでうまくヘディングを決められました」

―2得点目は佐々木翔選手のパスから始まりましたね。  

「佐々木選手が縦パスを入れてくれたおかげでチームに一気にスイッチが入って、カウンターが決まりました。あのシーンも、そこにボールが落ちてくるだろうという嗅覚を信じて走りました。自分のゴール感覚というか、嗅覚には自信があります。ここに落ちてくるだろうなと思ったところに、本当に落ちてくる回数が多いんです。嗅覚に自信を持って、自分を信じて、走り続けたいと思います」

―点が取れるボランチと言われます。  

「試合に出る度に良くなっている感覚があるので、もっと試合に出たいという思いが強いです。ボランチは若手だと野津田岳人選手、松本泰志選手というライバルがいますが、野津田選手はボールをつなぐことに長けた選手。松本選手は3試合連続ゴールを決めているし、自分と似たタイプ。試合に出続けるためにも、結果にこだわっていきたいと思っています」

―チームはタイトルをかけた戦いが続きます。

「広島復帰1年目からこんな経験をさせてもらえることが光栄です。プレッシャーは全くなくて本当に楽しみ。これまでルヴァンカップは決勝で2回負けていますが、当時はテレビで見ていて本当に悔しかった。次は選手として借りを返すというか(笑)、タイトルを取って、クラブの歴史を新しくつくっていきたいと思っています」

―川村選手は元々サンフレッチェが大好きなサッカー少年だったんですよね。

「サンフレッチェの選手になることが一番の目標でした。佐藤寿人さんはヒーローでしたし、今は青山敏弘選手のような広島のバンディエラになることが目標です」