Jリーグの歴史を振り返ると、移籍を経験することなく、ひとつのクラブでプレーし続ける選手はそう多くはない。ましてや、20年以上同じクラブに在籍するとなるとなおさらだ。
2024年シーズンでサンフレッチェ広島在籍21年目を迎えた青山敏弘は、まさにクラブを象徴する存在だ。2月22日に38歳の誕生日を迎えたばかりの青山が、長くキャリアを積み重ねるなかで得た、自身の変化への思いとは?ここでは青山のロングインタビューをお送りする。(全4回・第2回目)
◆年齢による変化も含めて自分。『できないことを楽しむ』青山の思考
ー2024シーズンは、スキッベ監督3年目のシーズンとなります。これまでさまざまな監督のもとでプレーされてきた青山選手は、スキッベ監督をどのような指導者だと感じていますか。
「一言で表現するなら、『シンプル』です。複雑な考え方をするのではなく、『サッカーを楽しむこと』、『サッカーを勇敢に戦うこと』、『思い切りかっこいいサッカーをすること』、そうした思いを大切にしている方だと感じます。複雑ではなく、シンプルで、わかりやすいというのは、プレーする僕たちからしても、すごく良いですね。こんなに何も言わない監督は初めてです。それは、自分たち選手をリスペクトしてくれているということでもありますし、実際に毎試合、『君たちならやれる、君たちの力を信じている』というメッセージを発してくれています。練習を見ている姿からも監督からの信頼が伝わってくるので、選手から監督に寄せる信頼も、とても大きいのだろうと感じます」
ー青山選手は今年で38歳ですが、以前と比べてトレーニングやケアの方法で変えたこと、または変えなかったもの、そして体力を維持する秘訣はあるのでしょうか。
「僕自身は、以前と同じような体力を維持できないことは当然だと考えています。年齢に抗う必要はないですし、僕であれば、この年齢でサッカーをさせてもらっている、その中で感じる変化も含めて自分なのだと捉えています。体力なんてなくて当たり前で、それを受け入れるのも38歳の良さじゃないですか。『できないことを楽しむ』。そんな気持ちで向き合っても良いのではないかと思います。僕もたくさん悩むことがあります。ただ、それは38歳でプレーしているからこそ生まれる悩みだとも思っています。この年齢までやりたくてもできない選手もたくさんいるわけですから。サッカーに限らず、『この年齢までよくやってるね』と、自分で一番褒めてあげたら良いのではないかと感じています」
(第3回へ続く)