5点差の9回表、バティスタ、菊池涼介のソロ本塁打、松山竜平のタイムリーで6対8に。西川龍馬が内野安打で続き、代打・新井貴浩が逆転本塁打をバックスクリーンに突き刺した。

◆伝説の『七夕の奇跡』

 ただ、せっかくベストゲームって言っているのに、カープが負けた試合を選ぶのはどうかと思うので(笑)、勝ち試合を紹介させてもらいます。パッと思い浮かんだのは、2017年7月7日、神宮球場でのヤクルト戦です。7月7日という日付を見てピンと来た方もいると思いますけど、『七夕の奇跡』とも呼ばれている伝説の試合ですね。

 9回表の時点でカープが3対8で負けていたんですけど、ホームラン、タイムリーで3点を返して、6対8まで追い上げました。なおもランナー1、3塁で、代打の新井(貴浩)さんが逆転ホームランをかっ飛ばして、最終的に9対8で勝ったんです。

 オレは当時、映像で試合を見ていたんですけど、新井さんが代打で出て来たときに、たぶん試合を見ていたカープファンの誰もが「新井さんならなんとかしてくれるんじゃないか」って思ったはずなんですよ。新井さんのプレッシャーも大きかったと思うけど、みんなの期待に見事に応えた姿がカッコ良かったですね。マンガみたいだったし、「本当にこれ現実にやっているプロ野球の試合ですか?」っていうぐらいの、あり得ない展開でした。

 野球って延長回は決まっているけど、制限時間はないし、たとえ9回2アウトの時点で1000対0だとしても、逆転の可能性はあるわけですよ。9回スリーアウトになるまで逆転の可能性があるスポーツではあるけど、でもあのときは「さすがに今日はもう勝てないかな」と思っていたなかでの逆転ゲームだったので、印象に残っていますね。