チームの勝敗を左右する緊迫した場面でその名前がコールされると、球場が一気に盛り上がる『代打の切り札』。その存在はチームからの信頼と選手層の厚さを物語る。一打席で結果を求められる準備と、打席に立った時の集中力は、並大抵のものではない。

 昨夜の逆転劇を演出した松山竜平をはじめ、ここぞという一打席を任されてきたカープ歴代の代打の切り札を振り返ってみよう。

その集中力はチーム随一。一打席で試合を決める松山竜平に今シーズンも期待が集まる

◆​自在のバットコントロールで、試合を決める

 チーム最年長となる17年目のベテランが代打の切り札として勝負強さを発揮している。1点を争うしびれる場面に登場すると、起死回生の一打で状況を打開する。4月4日のヤクルト戦では、同点に追いついた8回2死一、三塁の場面で登場し、決勝打となる勝ち越しタイムリーを放ち、チームを3連勝に導いた。「代打・松山」が相手チームの脅威となっている。

【松山竜平(まつやま・りゅうへい)
1985年9月18日生/鹿児島県出身/鹿屋中央高ー九州国際大ーカープ(2007年大学生・社会人ドラフト4巡目)
【通算成績】打率.280、928安打、82本塁打、6盗塁 ※2024年4月月4日現在

           

◆ビッグレッドマシーンの切り札

右の大砲として期待された強打者。1990年代後半から2000年代前半には代打としての出場機会が増え、通算成績397打数、90安打、71打点、打率.227をマーク。セ・リーグ記録でありプロ野球史上2位でもある、代打での20本塁打を放っている。4本の代打満塁本塁打、9年連続代打本塁打はいずれも日本記録。

町田公二郎(まちだ・こうじろう)
1969年12月11日生/高知県出身/明徳義塾高ー専修大ーカープ(1991年ドラフト1位)ー阪神(2005-2006)
【通算成績】打率.251、489安打、85本塁打、18盗塁

左足を大きく上げる特徴的なバッティングフォーム。子どもたちも浅井のマネをした

      

◆一発を秘めるアベレージヒッター

「他チームならレギュラー間違いなし」と言われた実力を持つ『左の切り札』浅井樹。勝負強いバッティングで確実に結果を残し、代打で489打数154安打、8本塁打、93打点、通算打率はセ・リーグ歴代3位となる.315を記録している。袖をまくり上げ、鍛え上げた右腕を見せながら打席に入る姿を覚えているファンも多い。町田・浅井ともに強靭な肉体から放つ一撃で試合の流れを変えることができるパワーヒッターで、特に1996年の代打での打率はそろって4割を超えていた。

浅井 樹(あさい・いつき)】
1971年12月14日生/富山県出身/富山商高ーカープ(1989年ドラフト6位ー2006)。
【通算成績】打率.285、523安打、52本塁打、41盗塁

     

◆代打コールだけで、球場の雰囲気が一変

落合博満やイチローなど球界の数多くのレジェンドたちから打撃の天才と評され、選手生命を脅かされるけがに苦しみながらも2000安打を達成した前田智徳。現役晩年は代打での起用が増え、2012年は43打数16安打9打点、打率.333、2013年は11打数4安打4打点、打率.364という代打成績を残している。

前田智徳(まえだ・とものり)
1971年6月14日生/熊本県出身/熊本工高ーカープ(1989年ドラフト4位ー2013)
【通算成績】打率.302、2119安打、295本塁打、68盗塁

    

◆勝負強い打撃で、チームを鼓舞!

任されたポジションを器用にこなすユーティリティープレーヤーで、2014年には代打打率.389と大活躍した小窪哲也。翌2015年の代打成績も62打数19安打、打率.380、1本塁打、15打点、出塁率.500と、驚異的な数字を残している。絶大なリーダーシップを発揮しながら連覇にも大きく貢献した。

小窪哲也(こくぼ・てつや)】
1985年4年12月生/奈良県出身/PL学園高ー青山学院大ーカープ(2007年大学生・社会人ドラフト3位)ーロッテ(2021)
【通算成績】打率.257、386安打、19本塁打、7盗塁