思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。
今回は、新入団選手がまず質問される『広島の印象』についての回答を、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。
◆『広島=カープ』・・・そして、2025年の意外な回答
2025年の年明け。毎年この時期、新しいシーズンの始まりを感じさせるニュースの一つが、『新入団選手の大野寮入寮』ではないだろうか。今年も1月7日、8名の選手の入寮が報じられ、カープ公式サイトでは入寮を終えた選手たちのインタビューが公開された。
ところでこの『カープ新入団選手へのインタビュー』に、必ずと言っていいほど入っているのが『広島の印象は』という質問項目である。球団の本拠地に対する印象を問われるというのは、他球団ではあまり見られないように思われ、やはりカープが地域に根差した球団であることを再認識させられる。
果たして広島の地を訪れた新入団選手たちは、広島に対してどのようなイメージを抱いているのだろうか。カープ公式サイトに掲載された、過去三年間の入寮時インタビューをもとに傾向を探ってみたい。ちなみに広島在住ではない私が広島に対して抱くイメージは『人が優しい』『食べ物がおいしい』である。
そもそも広島に縁が深い選手にとっては、その印象は改めて語るまでもないだろう。広陵高出身の髙太一は「カープ一色というか、カープファンがすごく多いというイメージです」と語り、小学校5年の時に広島に越してきた河野佳は「あたたかい」、広島で生まれ育った名原典彦は「食べ物が美味しい」と、短い一言に故郷への思いが凝縮された回答を残している。
ちなみに名原は新入団選手会見の際に、旧市民球場でカープの試合を観た思い出を語り、「その時、新井監督は阪神にいらっしゃいましたよね」と監督いじりまでやってのける豪胆さを見せた。過去を遡れば、やはり広島出身の金本知憲も入団会見で「小学校の頃から市民球場で山本選手を応援してたんです」と、当時監督であった山本浩二に触れるコメントを残しており、広島出身の選手にとっては、カープにまつわる思い出も『広島』の印象の一部となっているのだろう。
それは県外からの選手も同様のようで、「カープを応援するというイメージが強いので明るい県だなと思います」(杉田健)、「広島といえば“カープ”という印象で、ファンの方の声援が熱いなという印象です」(常廣羽也斗)、「カープ愛がすごい」(内田湘大)など、「広島といえばカープ」という回答が多い。中には長谷部銀次のように「家族のような温かい球団」と、『広島』を『カープ』と解釈した回答もある。確かに略称が地名なのは12球団中カープのみなので、こうした解釈の行き違いも生じがちである。
あとは「ご飯がおいしい」(斉藤優汰ら3名)「人があたたかい」(佐藤啓介ら2名)といった回答が続く。私の持つ印象とほぼ同じでうれしい。
ところが、今年の新入団選手のインタビューでは、近年に見られない回答が多く寄せられていた。それは『寒い』。「今日は寒くて、雪も降ってて……」(岡本駿)「広島着いた瞬間『寒い』と感じました」(渡邉悠斗)、「福井より寒いです」(竹下)、「静岡よりも全然寒いです」(安竹俊喜)と、なんと8名中4名が『広島=寒い』と回答している。入寮日がみぞれ交じりの天気で、最高気温も7.2℃と低かったことが影響していると思われる。この新入団選手たちの印象が変化していくのはいつ頃になるだろうか。
また今年から、『広島でどこか行ってみたいところは?』という質問項目が追加されたが、これには8名中6名が「宮島」と回答している。2月からはキャンプも始まり、野球選手にとっては忙しい時期が始まるが、いつか新入団選手たちが宮島に遊びに行ける日があればいいなと思っている。