Bリーグチャンピオンとして迎えた今シーズンは、勝ちきれない苦しいゲームも続いた広島ドラゴンフライズ。昨季は後半からチームを引っ張り、リーグ初制覇にも貢献した若き司令塔・中村拓人が、自らの成長と課題、そして今シーズンを振り返った。(取材は2025年4月)(全2回/第1回)
◆急成長を経て変わったこと、これから変わっていくこと
—2024年3月に寺嶋良選手が離脱して以降、昨シーズン後半から今シーズンにかけて飛躍的にプレータイムが伸びました。経験値もかなり上がったのではないですか。
「昨シーズンはいろいろな経験ができて、そのおかげで今シーズンも良いパフォーマンスができていると思います。今シーズンはEASL(東アジアスーパーリーグ)や日本代表で海外のチームと対戦する機会も多く、Bリーグとはまた違ったフィジカルの選手とのマッチアップを体験することができて、本当に良い経験ができていると感じています」
—成長を実感する部分はありますか。
「正直なところ、何かを残せているかと言われると、それはまだないと思っています。でも、昨シーズン優勝を経験したことなどが少なからず自信にはつながっているので、そのおかげで今シーズンも自信を持ってプレーできている実感はあります」
—コート上での視野、プレーの幅が広がったという評価を耳にします。
「自信がついたことで、落ち着いて、余裕を持ってプレーできているのかなというのは感じます。ただ、まだまだ自分の中では納得いくプレーができているとは思えないので、そう言ってくださる方がいるのは本当にありがたいですね」
—昨季の急成長と活躍によって、マークが厳しくなった面もあると思います。
「そうですね。やはり自分の強みというか、僕がやりたいことは相手もわかって対処してくるので、その中でいかに良い選択ができるかということが、これからは必要になってくると思っています。自分一人で相手と戦っているわけではないので、僕に圧というか、ディフェンスがかかっているのであれば他の選手が空いてくるでしょうし、そういうところを落ち着いて見て対応していくことで、チームとしてより効率的に戦うことができます。もちろん、自分自身で打開していかなければならないシチュエーションではしっかりやらなければなりませんが、40分間の試合の中でいかに効率よくチームとして攻められるかが大事だと思っています。そういうことを今いろいろ経験できているのも、自分自身の成長につながると思います」
—課題や、これからさらに伸ばしていきたい点はありますか?
「ドリブルでボールを運んだり、得点圏内でボールを持っていたりすることが多いので、そこからプルアップ(ドリブルで切り込み、素早く止まって打つジャンプシュート)やスリーポイントシュートにつなげていくことが、これから自分により必要になってくると思います」
(後編へ続く)