昨シーズン初のリーグ優勝を果たし、今シーズンは東アジアスーパーリーグの激闘を制し王者に輝いた広島ドラゴンフライズ。『新アリーナ構想』も持ち上がり、コート内外で注目を集め続けている。2016年から社長としてクラブ運営に携わる浦伸嘉社長に、これからの展望を聞いた。(全2回/第1回)

新アリーナ構想を語る浦伸嘉社長

広島の玄関口に新アリーナを。まずは10万人の署名を目指す

—今シーズン、クラブはEASL(東アジアスーパーリーグ)で優勝を果たし、さらに広島駅北口には『新アリーナ構想』が持ち上がるなど、コート内外でも注目を集めてきました。

 「広島ドラゴンフライズがBリーグプレミアのライセンスを取るにあたり、いくつかの要件がありました。その一つが、2028年までに5000席以上を有するBプレミア基準のアリーナがあることでした。当初は広島グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)を本拠地にするという案もありましたが、他のイベントとの兼ね合いもあり、アリーナの利用は『5年間の暫定』という条件でした。ということは、5年の間に、Bプレミアの要件を満たす次のアリーナを建設する必要があるわけです。そのタイミングで、広島駅北口エリアの活用方法がまだ決まっていないということを聞いたので、ご縁があると思い、話を進めることになりました」

—広島駅北口エリアは広島の玄関口でもあり、立地としても非常に魅力的です。

 「そうですね。ただ、広島市が所有者となるマツダ スタジアムやエディオンピースウイング広島とは異なり、新アリーナは民間事業となるため、使用料の面などで課題もあります。バスケットボールの試合だけでなく、他競技の試合会場として、あるいは音楽イベントなどを招致しながら持続拡張性がある形で運営していく必要があると考えています」

—そうした課題を一つずつクリアしていく必要があると思いますが、浦社長が現在取り組んでおられることは何でしょうか。

 「まずは広島市民、広島県民のみなさんに広く新アリーナプロジェクトを知っていただくことが大切です。『あの場所にアリーナがあった方が良いよね』とみなさんに思ってもらえるように、我々も周知活動をしていければと考えています。現時点ではこれからどう新アリーナ実現に向けて進んでいくべきかを検討している最中でもあります」

—多目的に集客が可能なアリーナが広島駅の周辺に完成する。その意義をどのように捉えておられますか。

 「アリーナができると、一気に世界観が変わると思っています。広島ドラゴンフライズをはじめとしたスポーツの試合のほか、ライブ、コンサート、さまざまなイベントが広島駅周辺で開催できるようになります。そうすればいろいろな方が集まってきますし、国内のみならず国外からの注目も高くなっていくでしょう。日本全国を見ても、ロケーションとして一番ベストな位置に立つことになるのではないかと思います。新アリーナはスポーツの試合以外でも利用できることを前提としていますから、年間のうち300日前後はイベントを開催できる計算となります。そうすると、そこから波及する経済効果はマツダ スタジアムやエディオンピースウイング広島に匹敵する、あるいはそれ以上のものになると考えられています。それだけに、我々はもちろんブースターのみなさん、地元企業のみなさんからの期待の高さも感じているところですね」

—他のスポーツとも連携され、『新アリーナ構想』の署名活動も行われています。

 「はい。新アリーナ建設のためには、課題や超えていかなければならないハードルがたくさんあります。だからこそ、広島市民、県民のみなさんに協力していただきながら、目標を達成していきたいと思っています。まずは5月までに10万人の署名を集めることを目指していますので、ぜひご協力いただければと思います」

(後編へ続く)