初の海外リーグを戦い、見事、東アジア王者に輝いた広島ドラゴンフライズ。タフな日程のなかでも果敢に戦い抜いたチームを、コートの内外からけん引してきたのがキャプテン・上澤俊喜だ。来季以降、さらに高みを目指すチームに必要なものとは。若き主将が、これからの広島ドラゴンフライズを語る。(全2回/第2回)
◆継続的に応援してもらうため、結果を追い求めたシーズン
—キャプテンとして戦ったシーズンだったかと思いますが、改めて、手応えや課題を聞かせてください。
「広島にいて感じるのは、スポーツに対するファンのみなさんの本当に熱い思いです。どの競技でも変わらないと思いますが、そんな熱い思いを持つみなさんに応援してもらうなかで、『結果を出す』ことの重要性を改めて感じました。負けが込んでしまった時には、熱いからこそ厳しい声をかけてもらうこともあります。これはあくまでも僕個人の印象ですが、結果が伴えば周りも熱く盛り上がってくれる一方で、結果が伴わない時期が続くと興味が薄れてしまう人たちも増えるのではないかという思いもありました。2023/24シーズンは優勝したことでたくさんの方がバスケットに興味を持ってくれたと感じていたので、『次のシーズンの結果次第で、継続的に応援してもらえるかどうかが決まるぞ』とも感じていました。新たにブースターになってくれた方に応援し続けてもらうためには結果が重要です。僕たちプロスポーツ選手が、応援してくださっているみなさんにお返しできるものは『勝利』なので、そういう意味でも、今年はこれまで以上に結果や勝利を求めて戦ってきたシーズンだったと思います」
—序盤は故障者も多く、『勝利』をブースターに届けられない時期もありましたが、キャプテンとしてどのようにチームと向き合ってきましたか。
「僕自身のパフォーマンスの良し悪しに関わらず、自分がチームに対して言わなければいけない時はしっかりと話をするようにしていました。若いチームなので、選手それぞれが発言するきっかけがなかなかつかめないこともあったと思います。僕が発言することで周りの選手も発言するようになれば……と意識しながらやっていました。みんな思っていることはいろいろあるので、僕が発言をしたり問いかけることで出てくる意見もあります。シーズンが進むなかで、お互いに自然と発言をしたり意見を言える雰囲気になってきたので、そこは一つ、チームとして成長した部分ではないでしょうか」
—ここから広島ドラゴンフライズがより上のレベルに行くために必要なものは、何だと思いますか。
「強豪に勝てるなど、強いチームにはなってきたと思います。ただ、『常に強いチーム』かというと、まだまだそこまでは到達していないと思っています。バスケットの面では、『自分たちはこういうチームなんだ』という、チームを象徴するプレーを確立しながらシーズンを戦っていかなければならないと感じています。今シーズンは『ディフェンスをしっかりすること、そして早いペースの展開をつくること』というチームとして示されたビジョンがあったので、それは本当に良いことだと思いますし、逆にいうと、もっと目指すものに対して強化しなければならなかったという思いもあります。若い選手が多いということもありますが、試合のの準備の段階で各々がもっとできることがあると思っているので、今以上にプロ選手として、1試合1試合に対する準備をストイックにしていく必要があるのではないかと感じています」
—最後に、ブースターのみなさんへメッセージをお願いします。
「チームとしてはチャンピオンシップも逃してしまい、勝率も5割を切るという苦しいシーズンになりました。ブースターのみなさんにもそんなシーズンを送らせてしまって本当に申し訳なく思っています。ここまでずっと応援してくださったみなさんの存在は非常にありがたかったですし、どんなときでも僕たちの力になっていました。今シーズンで得たものは絶対にあるはずなので、それを無駄にせず、ステップアップしていかなければなりません。僕たちには、広島のバスケットを盛り上げていきたいという思いもあります。引き続き、ブースターのみなさんと一緒に頑張っていければと思っています。1年間、応援ありがとうございました」
■上澤俊喜(かみさわ・としき)
1998年6月2日生、富山県出身
ポジション・PG、背番号:10
2021−22 富山グラウジーズー2022〜広島ドラゴンフライズ
日本大4年時、富山で特別指定選手となり同チームでプロキャリアをスタート。2022年に広島移籍を果たすと、2023−24シーズンのチームのリーグ制覇に大きく貢献した。2024−25シーズンはキャプテンに就任。海外アウェイを含むタフな日程をこなすチームをけん引してきた。