社会人野球の二大大会の1つ、『第96回 都市対抗野球大会』が8月28日に開幕する。本大会出場権を獲得すべく、各地区では熱い戦いが繰り広げられている。
血行障害を乗り越え、現在はプロからも注目される急成長を見せている北関東のエイジェック・谷内隆悟投手。「試合で投げられることはありがたい」と、感謝を持ってマウンドに上がる左腕の胸中に迫った。
◆目の前の一戦一戦をチーム全員で勝ち、今年も『第一代表』を勝ち取る
― 今年、多くの試合に登板されていますが、感触はいかがでしょうか?
「昨年は故障でほとんど投げられなかったので、昨年より良い、悪いというものはなく、今年が1年目という気持ちで投げています。故障明けにしては上手くいきすぎかなと思う部分はあったのですが、試合で投げられることをありがたいなと思って投げています」
― 一昨年、昨年と故障で登板が少なかったと思います。その頃はチームをどんな風に見ていましたか?
「自分が投げられないから試合を見たくないとか、そういう感情はありませんでした。
チームが上に行けば行くほど、自分が復帰して投げられるようになったとき、良い舞台で投げられたり、活躍を見てもらえたりもすると思っていました」
― 現在は最速150キロとのことですが、エイジェックに入社後、急激に球速が伸びています。練習方法や意識を変えた部分はありましたか?
「実は、投球フォームや意識は全く変えていません。体ができてきたことで、スピードにつながったと考えています。社会人1年目のキャンプで、『お前は食べろ』と言われ、3週間で8キロの増量ができました。また、大学までは取り組んでこなかったウエイトトレーニングにも継続的に取り組んで、筋肉量と筋出力を上げていくことを意識しました。これがきっかけだったと思います」
― エイジェックにはスポーツ科学総合センターがあります。素晴らしい練習環境だと思いますが、どのように活用されていますか?
「数値を計測するのは大切ですが、自分としては数字に囚われずに感覚も大事にしていきたいと思っています。そのバランスが難しく、あまり活用できていないかもしれません。ただ、ウエイトなどのトレーニングに取り組む中でInbodyや、体のケアに関する設備は活用しています」
― 今はエース級の投手として起用されていると思いますが、どのような気持ちでマウンドに上がっていますか?
「マウンドに立てるということは、自分が今健康に野球ができているということなので、まず第一段階をクリアしているなと考えています。野球は相手がいるスポーツなので、自分が最高のパフォーマンスをしても、打たれてしまうことがあります。だから相手を抑えることは二の次で、まずはマウンドに立てていることに感謝して投げています」
― 初めての二次予選。今年は他のチームもエイジェックを意識してくると思いますが、目標はありますか?
「昨年のことは見ていただけなので、怖いもの知らずでいられる部分はあると思います。今年も自分たちは挑戦者という意識を忘れず、変に構えることなく戦っていきたいです。個人としては、パフォーマンスに関しては、冬から継続してきたことが結果になってきています。ただ、フィジカルはまだ全く足りていないと思っています。今年だけでなく、来季以降も戦えるように体づくりをしていきたいです」
◆プロフィール
谷内隆悟(やち・りゅうご)
2000年6月10日生/京都府出身/左投左打
京都府立鳥羽高校-同志社大学-エイジェック(2023~)