思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。
今回は、先日行われた、マイナビオールスターゲーム2025の振り返りを、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。
◆ホームランダービーに欠かせない“打撃投手”
今年も、オールスターゲームが7月23日(水)・24日(木)の2日間開催された。カープからはファン投票で矢野雅哉、監督推薦で島内颯太郎・森浦大輔・S.ファビアン・坂倉将吾の計5人が選出され、特に森浦は1戦目で1回に3三振を奪うなどの活躍を見せた。
セ・パ交流戦がすっかり定着した現在、わざわざセ・リーグとパ・リーグに分かれて対戦する意味があるのかという意見もあるが、レギュラーシーズンの緊張から解放された『お祭り感』が味わえるイベントとして、見ている方も楽しいものだ。今年行われた、試合中の選手にマイクを付けて、臨場感あふれる選手の声を拾う試みも、オールスターならではのことだろう。
その『お祭り感』を更に盛り上げるのが、恒例となっている試合前のホームランダービーだ。以前はセ・パのリーグ対抗であったホームランダービーは、何度かのルール変更を経て、現在は「オールスターに出場する選手のうち、7月6日までにホームランを7本以上打っている選手か、昨年の公式戦で15本以上打っている選手」の中からファン投票で選ばれた両リーグ4名が、トーナメント方式で競う形式になっている。
今年のオールスター開催前、ホームランダービーに関するあるニュースが話題となった。ダービー出場予定の森下翔太(阪神)が、打撃投手の公募を行ったという話だ。ダービー出場選手は、あらかじめ投手役をスタッフや他の選手に自ら依頼する必要があり、それを知らなかった森下が投手役を急募したということである(最終的には阪神の小山内大和打撃投手が務めた)。
ホームランダービーは、2分間でより多くのホームランを打った方が勝ちというルールなので、投手役は「ホームランを打ちやすい球」を多く投げる必要がある。出場者は自球団の打撃投手に依頼することが多いようだが、オールスターに出場しているチームメートの野手に依頼する選手も少なくない。カープでも2019年、ホームランダービーで優勝した鈴木誠也の打撃投手を務めていたのは同僚の菊池涼介だったし、今年も佐藤輝明(阪神)の打撃投手を中野拓夢が、上林誠知(中日)の打撃投手を岡林勇希が務めていた。
ところが近年、この打撃投手を「他チームの野手」に依頼するというケースが見られるようになってきた。昨年のホームランダービーに出場した岡本和真(巨人)が打撃投手に依頼したのは、阪神の中野拓夢であった。そして今年、牧秀悟(DeNA)の打撃投手を務めたのが、大学時代に東都大学リーグで交流のあった同学年カープの矢野だったのである。これもやはりオールスターならではという感じがする。
結果は牧が決勝戦で7本のホームランを放ち優勝。ダービー終了後、牧が賞金(100万円)を矢野と分け合いたいとコメントしていたことからも、矢野のアシストの大きさがうかがえる。
ここしばらく、カープはホームランバッターをあまり輩出しておらず、ホームランダービーの出場も20年間で栗原健太(2009年)、B.エルドレッド(2014年)、鈴木誠也(2017-2019年)の3名のみとなっている。今後、ダービーに出場するようなホームランバッターがカープに登場してくれることを願っているが、一方で野手の中から「ホームランダービーをナイスアシストしてくれる打撃投手」が現れるのではないか、というひそかな楽しみも持ち続けたいと思う。