1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。
第4回目の特集は、カープ歴代助っ人外国人のインタビューセレクション。
海を渡ってカープにやってきた助っ人たちは、その活躍だけでなく、ユニークなキャラクターでも多くのカープファンに愛された。ここでは懐かしい外国人選手を中心に、彼らの輝かしい足跡と“広島愛”を改めて振り返る。
今回取り上げるのは、『カントリー』『エル』の愛称で愛されたブラッド・エルドレッド。現在もスカウトとしてカープに携わるエルドレッド氏が、25年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた2016年を振り返って語った言葉を再編集してお届けする。(全2回/第1回)
(『広島アスリートマガジン2017年5月号』掲載記事を再編集)
◆チームから必要とされる誇り
— 今季(2017年)でエルドレッド選手が来日して6年目となりました。どのような気持ちでシーズン開幕を迎えられましたか?
「まず6年間同じチームでやってきたことは素直にうれしいですし、達成感があります。同じチームに6年間在籍できたということは自分がこのチームで必要とされているということですし、誇らしく思います。また昨季は優勝という素晴らしい経験をすることができました。今季もう一度優勝ができれば良いですし、そのために頑張っていきたいと考えています」
— カープに在籍した過去5年間で、1番印象深かった出来事はなんですか?
「昨季(2016年)のリーグ優勝の瞬間が1番印象的です。初めて日本に来た時のことを考えると、感慨深いです。1年目は何も分からず日本に来て、チームの中に溶け込んでいかなければいけませんでしたし、日本の野球を学ばなければなりませんでした。そうした積み重ねを経た上で、優勝チームの輪の中にいれたということが非常にうれしかったです。年数が経つにつれてチームメートとも仲良くなっていけましたし、スタッフとも信頼関係を築けています。昨季の優勝は1年1年の積み重ねがあった上での5年目の集大成でした」
— 広島の土地についても愛着が湧いてきたのではないですか?
「自分を含め、家族にとって広島は二番目の故郷になっています。5年間、広島で野球をしているということは、米国の家にいるより長い時間生活しているわけですから、ここが生活の拠点になっているといっても過言ではありません。自分たちが、街に溶け込んでいるのは、球団のスタッフが本当に手厚いフォローをしてくれたおかげです。また街に出れば、ファンの方々から暖かい声援をいただいています。昨季オフに球団と2年契約をした大きな理由の1つに、広島への大きな愛着があります」
— 日本文化の中で特に気に入っていることがあれば教えてください。
「一人ひとりが他者に対して尊敬の念を持っている点です。それは街での会話や、普段の挨拶から感じます。またお歳を召されている方に対してみなさん優しさを持って接しているので、その点も素晴らしいと思います」
— 好きな日本語はありますか?
「よく使っているのは“カラ元気”です。私も歳をとって体力的に辛い時があるので、よく口にします。またチームメートの新井さん(貴浩)と一緒に試合前のシートノックを受けている時に、新井さんに対して『カラ元気!』と声をかけるようにしています(笑)」
(後編へ続く)