1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。
第4回目の特集は、カープ歴代助っ人外国人のインタビューセレクション。
海を渡ってカープやってきた助っ人たちは、その活躍だけでなく、ユニークなキャラクターでも多くのカープファンに愛された。ここでは懐かしい外国人選手を中心に、彼らの “広島愛”を改めて振り返る。
2011年にカープ投手陣に加わったデニス・サファテ。クローザーとしてチームを支えた右腕が当時のインタビューで語った、自身の投球へのこだわりとマウンド上での意識とは。(全2回/第2回)
(『広島アスリートマガジン2011年5月号』掲載記事を再編集)
◆『逆襲』という旗印の下、全員が同じ方向を向いて戦う
— サファテ投手の投球の特徴として『下から這い上がるような球筋』がありますが、何か秘訣はあるのでしょうか。
「コツになるか分かりませんが、自分の中では最後までしっかり指にかける意識を強く持っています。そういう意識でリリースして、あとは先ほども言ったように捕手に向かってしっかり投げることです」
— 球速が注目されがちですが、お話にあったように球質が良いという評判も聞きます。
「間違いなく球の質、制球力が大事になってくると思います。メジャーでも日本でも速い球を投げる投手はいますが、ただ速い球では簡単に打ち返されてしまいます。少し球速が落ちても、コースにしっかりコントロールできるかどうかが勝負を分けます。自分の中でも思ったところに投げられるかどうかが鍵になってくると思います」
— 開幕前のオープン戦、練習試合では三振をいくつ記録しているかご存知ですか?
「知りません」
— 24アウト中18個三振です。三振に対するこだわりはありますか?
「三振率は投手として、ちょっと過大評価された数字だと思っています。もちろん日本でもアメリカでも三振を取れる投手はいますが、それが良い投手かと言い切れません」
— 一方では四球が1つと、昨季の3A時代から劇的に制球力が向上しているように感じます。
「昨年あたりから全球種でストライクが獲れる感覚があったので、制球力がついてきた感覚がありました。何を変えたというのはありませんが、とにかくシンプルに捕手に向かって真っ直ぐ向かって投げる気持ちでいます。一塁側に倒れてしまうと、やはり開きが早くなるようなこともありますけど、とにかく自分は捕手に向かってシンプルに投げることで制球をしっかりすることが上手くハマっているなと思います」
— やはり投球の軸となるストレートが力強いと、他の球種もより活きてくるのですね?
「そうですね。真っ直ぐの切れ、威力で他の球種も生きてくるということ。試合の中で投げていても、打者は自分のストレートに合わせないと間に合わないと思いますし、そこで自分がそう感じたら変化球を投げると打者はタイミングを崩される。その反対もしかり。そういう意味でも自分の武器である真っ直ぐに加えてカーブやスライダー、そして今年覚えたフォーク、4つの球種でストライクをとれているのが大きい。あとはチームにしっかり溶け込めていてマウンド上で心地よく投げさせてもらっている。日本に来て違和感なく野球ができていることはいいことだと思います」
— カープではストッパーを任されています。
「昨年、リリーフ投手として自分もこういう場所で投げることができるんだと確信しました。野村監督から『8回を投げてくれ』と言われても喜んで投げますが、リリーフ投手をやっている以上、抑えは一番アドレナリンが出ますし最高の名誉だと思っています。そういう役割を与えられればしっかりと自分の仕事をこなし、チームに貢献できれば最高です。私はチームが勝つことに主眼を置いているので、自分がそのひとつのパーツになれればと思っています」
■デニス・サファテ
1981年4月9日、アメリカ合衆国出身、投手
ブルワーズーアストロズーオリオールズーカープー西武ーソフトバンク(2021年現役引退)

