苦しみながら残した好成績

— 今季チームの中でどのような立ち位置、意識でプレーされていたのでしょうか?

「キャンプからやってきた、右打ちをする、バントを確実にこなすということに徹するという感覚でした。打席に入っても球を見極めたり、盗塁待ちであったり、また新しい自分というか、過去4年とは違うスタイルでのプレーが続いて本当に苦しかったですね。結局、そういう〝進塁打を打とう〟という意識で良い結果が残ったり、ランナーを送れば丸(佳浩)、新井さんが返してくれるという信頼感があったので、今季は昨季に比べると気が楽というか、〝後ろにつなげばなんとかしてくれる〟という安心感がありました」

— 優勝会見のときも「苦しかった」という発言をされていましたが、プレーが制約されるという苦しさなのですか?

「役割に徹することは毎年やってきたことですが、今季に関しては根本的に違うプレースタイルを要求されることが多くありました。僕は基本的に初球から積極的にいくタイプでしたが、状況によって〝投手に球数を投げさせなければならない〟という時や、右方向への打撃を要求される場面もありました。さらに、打席での盗塁待ち、盗塁の後でのサイン待ちなど、これまでになかったい難しい部分もあったので、〝苦しかった〟という表現になったと思います」

— その苦しさを乗り越えて、結果を残された訳ですが、プレーヤーとして成長したという感覚はありますか?

「〝新たな自分をまた一つ見つけられた〟という意味では、レベルアップできたかなという思いですね」

— 今季チームは快調な戦いぶりでしたが、その中でどんな想いでプレーしていましたか?

「僕の中ではずっと苦しかったですね。夏場もそうですが、どの試合でも『なんとかしなければいけない』という思いがありました。そういう意味では、最後の最後まで気が抜けないし、自分の仕事を全うしなければいけないという中で、新しい自分のスタイルでやってきたこともあったので、ずっと苦しかったと思います。もちろん、その苦しみの中でも右打ちができるようになり、打率も残って良かったと思います」

— 打撃では181安打を記録し、初の打撃タイトルとなる最多安打を獲得しました。

「タイトルが獲れたということには嬉しく思います。たまたまといったら変ですが、ランナーを進めようという思いから、ポテンヒットになったり、一、二塁間を打球が抜けたり、ということが多くて、そこに救われたのだと思います。〝打率を残そう、ヒットを打とう〟という気持ちよりも、〝後ろにつなごう〟ということしか考えていませんでした。その積み重ねの結果だと思います。守備に関しては、『エラーをいかに0に近くするか』という思いでやってきて、今季はエラーが4つでした。例年に比べれば良い結果が残ったなと思います」

「やっぱり8月7日の巨人戦ですね。僕は同点ホームランを打つことができましたけど、あの試合で勝ち切れたという部分が大きかったと思います。後半戦の大事なところで、5連敗を避けたいという試合でしたし、新井さんが決めてくれたので、あの試合はとても印象に残っています」