組織論・戦略論 などの視点から、近年のカープの強さ・魅力の秘密を紐解いていく、広島アスリートマガジンwebでしか体感できない講義・『カープ戦略解析室』。案内人は、高校野球の指導者を20年務め、現在は城西大経営学部准教授として教鞭をとるなど多彩な肩書きを持つ高柿健。11回目の今回は、カープの“チームづくり”について考えていく。

 

◆チーム設計の変容
「いつ出来上がるのだろうか」

 未完成ながら世界文化遺産に登録されているスペインの「サグラダ・ファミリア」は1882年の着工からいまだ建設中だ。

 当初の建築家であるアントニ・ガウディはすでに亡くなっているため、彼の設計構想(アーキテクチャ)をコンピューターで解析しながら建築は進められている。

 野球のチームづくりにおいても、このアーキテクチャは重要になる。

 例えば、高校野球ではこれまでエースを中心にチーム設計がなされてきたが、時代は変化し球数制限によって、複数投手を起用することを考えなければならなくなった。

 1998年の横浜・松坂大輔(現西武)や2018年の金足農・吉田輝星(現日本ハム)のような一人のエースを中心にした「インテグラル(擦り合わせ)型」のチームづくりは今後、難しくなるだろう。