◆インテグラル型とモジュラー型とは
これまで我が国の産業は、精緻な設計構想に基づく「モノづくり」によって支えられてきた。今回は建築やこのモノづくりのアーキテクチャを参考にカープのチーム・アーキテクチャを考えてみたいと思う。
製品アーキテクチャには、大きくはインテグラル型とモジュラー(組み合わせ)型の2つの型がある。インテグラル型は自動車のように専用部品を擦り合わせてトータルで力を発揮するスタイルだ。
そこには、各メーカーの独自ノウハウが蓄積されるため、価値を共有した系列(下請け)チームがつくられることになる。
もう一方のモジュラー型は、パソコンのように一般化された部品を組み合わせて製品を生み出すスタイルだ。
ハードディスク、ディスプレイ、キーボードなどのハードウェアはどのメーカーのものを組み合わせてもほぼ使うことができる。「互換性」が高く、実用的なのだが、こだわりは出しづらいといえるだろう。
近年、日本のモノづくりは危機に瀕している。デジタル化の進展により、日本の得意とするインテグラル型からモジュラー型へと産業構造が変化したのだ。これまで、すり合わせが必要であったスマートフォンでさえも、製造データの高度化によってモジュール化が進むことになってしまった。
黒田博樹、新井貴浩、丸佳浩(現巨人)が抜け、新たな若手戦力を融合して戦わなければならない今のカープも、ある面でこの「モジュラー型」のチームづくりを考えていく必要があるのではないだろうか。