◆伝統のインテグラル型チームの限界

 1965年から1973年でセ・リーグを9連覇した巨人は長嶋茂雄、王貞治を中心にほぼ固定メンバー(インテグラル型)で戦ったそうだ。当時の投手は先発完投型であり、投手の分業制は今ほど進んではいなかった。

 カープの第1次黄金期も同様だ。山本浩二、衣笠祥雄、髙橋慶彦といったレギュラー野手陣がチームを牽引し、投手陣も福士敬章、北別府学、大野豊、山根和夫、川口和久と完投能力の高い投手がチームを支えた。

 2016年から2018年の第2次黄金期もその基本スタイルは変わらない。時代に合わせて投手こそ先発、中継ぎ、抑えと分業制が取られたが、野手は生え抜きの田中広輔、菊池涼介、丸佳浩、鈴木誠也らのレギュラー陣がチームを勢いづけた。

 いずれにしても、カープはこれまで主力を中心としたインテグラル型の組織能力を強みに戦ってきたといっていいだろう。ただし、このインテグラル型は現在のカープのように、中心選手が抜けるとチーム力が一気に落ちる脆さを持っている。

 特に今シーズンのように連戦・連投による疲労やケガのリスクが高く、戦力を入れ替えながら戦わなければならない状況では、その弱みを露呈してしまう。

 リスクヘッジするためにはやはり、モジュラー型チームとしての引き出しを加える必要があるだろう。