◆2010年、一気に覚醒。投手三冠、沢村賞に輝く

 本格的な覚醒を見せたのがプロ4年目の2010年シーズンだ。シーズン前に「何でも良いのでシーズンが終わった後にタイトルを手にしていたいですね」と語っていた前田健太は、初の開幕投手に指名されると、8回を1失点でまとめ勝利投手に。初出場となったオールスターには、両リーグ最多得票で選出されるなど“マエケン”の名前は一気に全国区となった。

 その後も好調をキープした前田は、球団史上初となる投手三冠(最多勝利=15勝、最優秀防御率=2.21、最多奪三振=174)に輝き、投手最大の名誉ともいえる沢村賞を受賞した。

 結果的に前田は、この2010年からカープを退団する2015年まで毎年、二桁勝利を記録し“日本のエース”として申し分のない成績を残した。チームを支える大黒柱の証でもある開幕戦への登板5回はカープでは北別府(9回)、長谷川良平(6回)に次ぐ第3位の記録である(同数で外木場義郎、黒田博樹)。

 メジャー移籍初年度の2016年から16勝をマークするなど、活躍の場をメジャーの舞台に移しても、背番号18を背負い続け、その実力を存分に発揮する前田健太。カープを代表する名投手は、海を渡ってもなお圧巻の投球を見せ続けている。