達川:佐々岡監督と高コーチは同い年だし、コミュニケーションもとれるしな。佐々岡監督は二軍で4年コーチをやって、5年目に一軍か。一番ええね!

大野:一番は今年のチームに残った課題をいかに解消するか。昨年までは投手だけを見ていればよかったけど、今度はチーム全体を見なければいけない。優勝するために課題をしっかり見極めて修正いくことが大切。投手で言うとなんと言っても7、8、9回。試合を逆算してクローザーをどうやって決めていくのか。

達川:役割分担をいち早く決めないといけないですよ。佐々岡監督は初めての監督ですが、投手出身だから投球の方はある程度分かると思う。だけど攻撃は高コーチにある程度任せながらやった方が良いよ。ワシが監督で失敗したのは、何でもかんでも自分でやろうと思ってしまったから。そのことを1年たって気付いたら遅い。結局1年1年が勝負ですから。もちろん5年コーチ経験があるだけに、理解はしているだろうけどね。

大野:見極めの中で非情さ、決断力も必要でしょうね。迷ったことで一手遅れるということはありがちですし、その決断力というのは大切。佐々岡監督の場合、一体感という言葉をよく使いますが、それは自分が全てやるということではなく、コーチに任せることはしっかりと任せながら自分の考えをしっかりと伝えていくということも大切ですよ。

達川:最終戦術は監督が考えればいいんだけど、そこまでの過程、コミュニケーションをとっていかないと風通しが悪くなりますから。それができる監督だと思いますよ、話しやすいしね。


(広島アスリートマガジン2020年1月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 大野豊 (おおのゆたか)
1955年8月30日生、島根県出身、64歳。出雲商高-出雲信用組合-広島(76年ドラフト外-98年引退)。現役時代は先発、抑えとして22年間の長きに渡りカープ投手陣を支えた。指導歴は広島コーチ(99年、10-12年)、日本代表コーチ(04、08年)。現在はプロ野球解説者として活躍中。通算成績は707試合、148勝100敗138S、防御率2.90。

▼ 達川光男(たつかわみつお)
1955年7月13日、広島県出身、64歳。広島商高-東洋大-広島(77年ドラフト4位-92年引退)。現役時代は頭脳派捕手として活躍。指導歴はダイエー(95年)、広島(98年)、広島監督(99-00年)、阪神(03年)、中日(14-15年)、ソフトバンク(17-18年)。現在はプロ野球解説者として活躍中。通算成績は1334試合、打率.246、895安打、51本塁打、358打点。